タカラトミーは、NECのクラウドとハウジングサービスを用いて基幹システムを刷新した。システムの運用管理にかかるコストの削減を見込んでいる。NECが3月9日に発表した。
大手玩具メーカーのタカラトミーは、販売システムの基盤サーバをクラウドサービス「NEC Cloud IaaS」の仮想サーバ6台に、会計や物流、調達購買などのシステム向けの基盤サーバ約100台をハウジングサービスに移行した。
これまでアジア圏を中心に海外事業を手がけてきた同社は、さらなるグローバルでの事業展開を視野に入れて、事業を支えるIT基盤の導入を検討してきた。また、基幹業務システムをオンプレミス環境で運用する中で、事業継続性を向上させるために災害に備えた対策もあわせて検討していたという。

基幹システムのイメージ図(NEC提供)
NEC Cloud IaaSとハウジングサービスを導入することで、(1)運用管理コストの削減、(2)事業継続性の向上、(3)販売システムへの負荷に応じた柔軟、迅速なリソース変更、(4)システム間での安全、高速なデータ連携――という4つの効果を見込んでいる。
運用管理コストの削減については、NEC Cloud IaaSの高可用性(HA)サービスとハウジングサービスの利用に加えて、これまでシステムごとに個別に構築していたバックアップ環境の統合や仮想環境におけるリソース割り当ての最適化などを実施することで、システムの運用管理コストを20%削減すると見込んでいる。
また、NECの神奈川データセンターで基幹システムを運用することにより、従来のオンプレミス環境と比べて事業継続性を向上することができるという。
従来環境では、システム負荷の増大に備えた十分なリソースを事前に用意したり、障害発生後に人手による拡張作業を実施したりする必要があった。システムをクラウド化したことで、サーバなどのリソース増減や使用率の管理などが可能になり、繁閑期に変動するシステムへの負荷に応じて柔軟で迅速にリソースを変更できるようになった。
クラウド基盤サービスに移行した販売システムと、ハウジングサービスに移行した会計、物流などのシステム間には、相互にリアルタイムなデータ連携が求められていたという。神奈川データセンターは、クラウドとハウジングの両サービスがLAN接続されているため、システム間で安全かつ高速にデータを連携できるとしている。
タカラトミーは今後、ハウジングサービスを利用しているシステムについても、段階的にNEC Cloud IaaS」へ移行する予定である。