日本のWindows 10 Mobileスマホの種類は世界最多--まずは企業向け市場を獲る

取材・文:阿久津良和 構成:羽野三千世 2016年03月11日 07時00分

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 日本マイクロソフトは3月10日、都内でWindows 10の法人向けビジネスに関するプレスラウンドテーブルを開催。法人分野における最新状況や、ハードウェアメーカー各社の法人向けWindows 10搭載デバイスを紹介した。

 同社はWindows 10を「Windows as a Service」と標榜し、最新テクノロジへの対応や新機能の搭載など常に変化し続けるOSと定義している。2015年7月の無償アップグレード開始以降、着々と歩みを進めているが、ここに来て法人向けWindows 10搭載デバイスも出揃ったため、今回のプレスラウンドテーブル開催に至ったと見ることができる。

 今回の注目ポイントは2つ。1つめはWindows 10 Mobile搭載デバイスだ。日本ではMicrosoftが自社販売するLumiaブランドを展開していないにもかかわらず、すでに10社11機種のWindows 10搭載スマートフォンが発表されている。同社 執行役 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長 金古毅氏によれば、10社11機種はワールドワイドで最も多い数だ。その背景について金古氏は、「日本市場で、ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)にビジネスの商機を感じている顧客が多いと同時に、スマートフォンのセキュリティへの関心が高まってきているため」と説明した。


日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長 金古毅氏

 日本市場でさらにWindows 10 Mobileデバイスのラインアップを拡充していくために、同社は米国本社とともに、設計から量産までを担う“ODM(Original Design Manufacturing)”ベンダーとの関係を深める活動を続けていくとする。金古氏は、大手キャリアのように数万~数十万ロットにおよぶ大量生産ではなく、小ロットで生産するベンダーと組んでWindows 10 Mobileデバイスを提供していることが日本市場での成功(少なくとも現時点での提供機種は世界一多い)につながったとアピールした。

 別の側面から見れば、Windows 10 Mobileデバイスは顧客数やUWPアプリケーションの問題でiPhoneやAndroid搭載デバイスのような広がりが生まれていないように見える。その点に対して金古氏は「B2B市場は確実な手応えを感じている。B2Bで広まり、そこからB2C市場が生まれる展開もある」と自信を見せた。

 もう1つの注目点は、米国防総省(ペンタゴン)が1年以内に同省内の各種デバイスをWindows 10へアップグレードする指示を出したというニュース。Microsoft Windows & Devicesグループ シニアバイスプレジデントのYusuf Mehdi氏が2月中旬に発表したものだが、Mehdi氏は「大規模かつ複雑な組織が、これほどの短期間に展開を進めるケースは類を見ない」と述べていた。


日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows&デバイス本部長 三上智子氏

日本マイクロソフト グローバルビジネスサポート セキュリティレスポンスチーム セキュリティプログラムマネージャー 村木由梨香氏

 日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows&デバイス本部長の三上智子氏は、ペンタゴンでのWindows 10大規模採用は、日々進化するセキュリティ脅威が背景にあると説明する。Microsoft Windows & Devicesグループ エグゼクティブバイスプレジデント Terry Myerson氏の発言を引用し、「企業がマルウェアを発見するまで平均200日を超え、その対策に要する期間が約80日。これらの攻撃による被害額は1件あたり1200万ドルに達している」と説明。世界で最も攻撃を受けているペンタゴンだからこそ生まれたイノベーションだと語った。

 すでに境界を防御するセキュリティ対策だけでは不十分で、一人ひとりが安全なデバイスを使うことが推奨されると同社 グローバルビジネスサポート セキュリティレスポンスチーム セキュリティプログラムマネージャー 村木由梨香氏は説明する。

 また、「サードパーティ製セキュリティ対策ソフトでは、契約更新タイミングを狙ってマルウェアが侵入した事例もある」(村木氏)。通常は新たなマルウェアが発見され、定義ファイルを更新するまで6~8時間を要するが、Windows 10はクラウドからセキュリティ機能を提供する「Windows Defender Cloud Protection(日本語版Windows 10では「クラウドベースの保護」)」を実装しており、リアルタイムでの保護を実現している。

 そのほかにも、生体認証機能「Windows Hello」、その認証情報を他のサービスの認証に用いる「Microsoft Passport」、法人向けにはセキュリティ攻撃の検知や対処法を提示する「Windows Defender Advanced Threat Protection」といった新しいセキュリティ機能を追加している。


Windows 10のセキュリティ多層防御。さまざまなレイヤからセキュリティ対策を講じている

Windows 10無償アップグレードは7月下旬までに終えることを推奨

 三上氏によれば、国内法人のWindows 10展開状況は、現在はまだ全社展開ではなく部分導入や検証に留まっている。部分的にでもWindows 10に切り替えた企業の割合は米国では76%であり、この数字は国内でもほぼ同等だという。

 Windows 7やWindows 8.1を使い続ける企業に対しても、「使い続けるのはユーザーの自由だが、安全性や利便性からもWindows 10をお薦めしたい。(当初問題となった)互換性問題なども改善している」と三上氏。同社はWindows 10への無償アップグレードを7月28日までに終えることを推奨しているが、Windows XPサポート終了の反省を生かして、「日本は他社の事例を参考にして導入を決める企業が多い。コスト削減や互換性改善といったきめ細やかな導入事例情報を、本社とも連携しながら提供していく」(三上氏)とした。

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