シスコシステムズは3月14日、ネットワーク機器の設定を簡素化するSDNコントローラソフト「APIC-Enterprise Module(APIC EM)プラットフォーム」の提供を開始したと発表した。同社のネットワーク機器の設定をリモートから制御し、これを自動化できる。ポリシーベースでアプリケーションごとに優先制御(QoS)をかけることも可能だ。
「企業がデジタル技術を駆使してイノベーションを加速できるかどうかは、ITがいかにシンプルになっているかが鍵になる」――。
Cisco Systems エンタープライズインフラストラクチャソリューションズグループ マーケット戦略担当バイスプレジデント Ehrika Gladden氏
米本社のエンタープライズインフラストラクチャソリューションズグループ マーケット戦略担当バイスプレジデントを務めるEhrika Gladden氏は、複雑なシステムをシンプルにすることが企業の成長の基礎となると主張する。ITをシンプル化することで、コストと複雑さが改善され、より迅速にイノベーションを実現できるようになる。
同社は、ITをシンプル化する構想として「Digital Network Architecture(DNA)」と呼ぶシステムアーキテクチャを提唱(図1)。DNAでは、SDNによるネットワークの仮想化、通信事業者のネットワーク機能を汎用サーバで稼働させるNetwork Functions Virtualization(NFV)などの技術を素材として使い、これらを集中管理するオーケストレーションツールを用いて、オンデマンドでプロビジョニング(配備)したり、設定内容をリモートから自動的に制御したりする。ハードウェアスイッチのCatalystを含む同社の全製品をオーケストレーションツールから制御できるようにする。
図1:DNAの構成要素(シスコ提供)
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(4)ネットワークからアプリケーションを理解することの重要性
同社によると、現在では“最高デジタル責任者(Chief Digital Officer:CDO)”と呼ばれる役職が登場しており、世界的にトレンドを形成しているという。
ただし、企業によってCDOの実態はさまざまな単に最高情報責任者(CIO)の役割を担っているだけの企業もあると説明。General Electric(GE)のようにデジタル技術をビジネスに取り込んだり、まったく新しいビジネスモデルを構築したりといった変革が求められているという。
CiscoにもCDOがいる。同社でシニアバイスプレジデント兼CDOを務めるKevin Bandy氏は、「今後5年間のデジタルによる変革によって、現在の業界上位の企業10社のうち4社が入れ替わる」と指摘する。