座談会@ZDNet

IoTで10年後に笑うのは今取り組んでいる企業--ベンダー座談会(5)

山田竜司 (編集部) 吉澤亨史 怒賀新也 (編集部)

2016-03-18 07:00

 IoTに取り組もうとする企業が増えている。その取り組みは、従来の事業にIoTの要素を加えたものから、まったく新しい事業を生み出そうというものまでさまざまだ。いずれにしても、IoTを事業に生かすためには技術的、組織的、経営的な課題が多くあるのが現状だ。IoTに関わるベンダー6社が集まり、座談会を開催した。座談会を開催した。参加したのは以下の6人。今回は5回目。(第1回第2回第3回第4回

  • 日本IBM IoT事業統括兼グローバル・ビジネス・サービス事業本部 IoTサービス事業部長 村澤賢一氏
  • NTTデータ 第一公共事業本部 e-コミュニティ事業部 企画統括部長 古田正雄氏
  • 富士通 ネットワークサービス事業本部 IoTビジネス推進室 シニアディレクター 大澤達蔵氏
  • MathWorks インダストリーマーケティング部 マネージャー 阿部悟氏
  • シスコシステムズ IoEイノベーションセンター シニアマネージャー 今井俊宏氏
  • 日立製作所 スマートビジネス本部 O&Mクラウドサービス事業推進センタ長 藤城孝宏氏

IoTに取り組まないと退場

――では、収益化についておうかがいしたいと思います。ベンダーにしてもユーザーにしても、IoTで儲かっているという話を聞かない気がします。


NTTデータ 第一公共事業本部e-コミュニティ事業部企画統括部 企画統括部長 古田正雄氏
事業部の新規ビジネス分野を統括し、事業部で保持しているセンサ・M2Mのノウハウを活かし、公共および民間分野のIoTビジネス拡大に注力

古田氏 収益化よりもまずは市場を大きくしたく思います。われわれのビジネスの観点からすると、IoTもクラウドも、基盤を提供している中では本当に月額ベースの小さなビジネスであるが故に、IoTについては安くても広く早く欲しいと思っています。まずはネットワークへつないで、いろいろなデータを取ってくるというところから始めないと、なかなかその先の顧客の効果を見いだすところまで行きません。卵が先か鶏が先かではないのですけれども、いかにIoTを広めて小さなビジネスを大きくしていくかということですね。

 顧客の立場からすると、今後IoTが拡大していけば、他の顧客がどれだけ現場でコストを削減できたのか、あるいは収益が拡大したのか事例を提供できるようになると思います。われわれは日本の製造業が海外に打って出ていけるように支援したいのです。

大澤氏 収益が出るかどうかは問題ではなくて、IoTに取り組まないと退場してしまうということだと思います。インターネットが普及したときもそうですが、一部の企業はガッと伸びましたが、他はそうでもない。しかし、手を出さなかった企業は市場から退場したと思っています。IoTも同じことでGEやPhilipsもそうですが、長期的に潤うかどうかは分からないがやらないとその先はないということですす。

古田氏 IoTを使うことによって、(データ一つの基盤に預けるため)オープンになるのではなくて逆に顧客を囲い込むようになる可能性があります。長期的なパートナーとしてのビジネスというような気がします。

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