日本株展望

米FOMCは予想通り利上げなし、やや円高進む

ZDNet Japan Staff 2016年03月17日 10時16分

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 3月16日の日経平均は142円安の1万6974円だった。イベント(米FOMC=金融政策決定会合の結果発表)を控え、1ドル113円台に円高が進んだことから、利益確定売りが出た。

 16日(日本時間では17日午前3時)に米FOMC結果が発表された。事前の市場予想通り、利上げはなかった。年内の利上げ見通しについて、FOMCメンバーの予想(中央値)も下方修正された。これまでは0.25%の利上げが年内4回想定されていたが、2回に減った。

 これを受けて、1ドル112円台に円高が進行した。為替は日本時間で17日午前6時現在1ドル112.57円、同時刻のCME日経平均先物は1万6815円だ。このことについて、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

米FOMC声明文・イエレン議長の発言から読み取れること

 今回、利上げが実施されないことは事前予想通りだった。ただし、FF金利の2016年末の予想値(FOMCメンバーの予想中央値)が、1.375%から0.875%まで引き下げられたのは、やや意外感があった。年内の追加利上げ回数が、これまでは4回(利上げ幅合計1%)想定されていたが、2回(同0.5%)に減少した(注)。

(注)現在のFF金利の誘導水準は0.25~0.5%(中央値は0.375%)だ。これまで年内1%(0.25%の利上げを4回)の利上げが想定されていたが、今回のFOMCメンバー予想では0.5%の利上げ(0.25%の利上げを2回)しか想定されていないことになる。

 FOMC声明文では、米景気は堅調で、とりわけ労働市場の改善が進んでいるとの認識が示されている。ただし、世界景気の減速や金融市場の状況を考えると、追加利上げの環境が整うのに、やや時間を要するとの解釈につながっている。

 これまで市場コンセンサス予想では、年内2~3回の利上げが想定されていたが、今後、年内利上げ回数は1~2回が市場コンセンサスになると思われる。3月の利上げが見送られた後、6月に利上げが行われるかが次の焦点だったが、6月の利上げも難しいという印象につながっている。ちなみに、窪田氏の予想では、年内の追加利上げは年末に1回のみだ。

 これを受けて、為替はやや円高に進んだ。ただし、FOMC結果発表後のFRB(中央銀行)のイエレン議長の会見で、年内の利上げは可能との見通しを改めて示したことから、大幅な円高進行にはつながっていない。イエレン議長が年内利上げの根拠としているのがアメリカで足元インフレ率が上昇していることだ。

 今回のFOMCのメッセージをすべてトータルして見ると、米利上げはやや難しくなったものの、先行き利上げが進むとの見通し自体を否定するものとはならなかった。その結果が1ドル112円台への円高進行となった。

トランプ旋風も少しずつ影響か

 アメリカの大統領予備選挙で、共和党候補者であり、人種や宗教への差別発言や極端な対外強硬論が目立つドナルド・トランプ氏への高い支持率が継続している。共和党の大統領選候補者がトランプ氏になる可能性も高まった。民主党では、クリントン氏が指名に近づいている。大統領選がクリントン氏とトランプ氏の一騎打ちになる可能性が出てきている。

 トランプ氏が人気を博している背景に、強いアメリカを取り戻すというメッセージを繰り返していることがある。トランプ氏は、メキシコ、中国、日本などの国々が米国の雇用を奪っていると非難している。メキシコとの国境の間に万里の長城のような壁を築き、不法移民の流入を防ぐと話している。日本は為替を操作(円安誘導)しているとし、日本の輸出企業を名指しで批判している。TPPも何も生み出さないとして反対を表明している。

 トランプ氏の発言は、日本企業が米国で現地生産を拡大し、米国の雇用を拡大している事実を無視しているとの批判はあるが、問題は、為替操作への言及だ。こうした発言を繰り返すトランプ氏が人気を博していることが、クリントン氏の発言にも影響を与え始めている。実際、TPPを支持していたクリントン氏は、今のままではTPPに賛成できないと発言を変えている。

 今後、日本の円安誘導を容認しないムードが米政界に広がる可能性には注意が必要だ。米FRBは独立性を維持しており、今の大統領選のムードから影響を受けているわけではないが、まったく影響がないともいえない。利上げはドル高につながり、米輸出企業の競争力をさらに低下させることになる。米大統領選のムードも利上げに逆風になりつつある可能性もある。

世界に広がる反グローバル主義

 最近、世界中の国々に孤立主義(他国との関係を絶つ)や対外強硬論(他国を非難する)が広がりつつあることに懸念が感じられる。アメリカの大統領選でトランプ旋風が吹きやまないのは、米国内に反グローバル主義が広がりつつある兆しと見ることもできる。

 トランプ氏が大統領にならなかった場合でも、米国内に反グローバル主義が広がりつつあること自体は変わらないので、今後の米国の外交の変化には注意が必要だ。

 反グローバル主義が人気を博しているのは米国だけではない。英国でも、EU(欧州共同体)からの離脱論が人気を博している。EUから離脱すると、ロンドンの国際金融市場としての価値は低下し、英国経済にマイナスととらえられている。

 それでも、孤立主義に進みたいというムードがイギリスにも広がっている。ドイツでも、難民受け入れに反対する政党が大躍進している。世界的に反グローバル政党が力を得つつあることは、注意を要する事態だ。

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