ナデラCEOが示したミッションステートメントに見るマイクロソフトの近未来

大河原克行 2016年03月21日 08時00分

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 「CEO(最高経営責任者)のSatya Nadellaが打ち出したミッションステートメントは、すべての社員が語ることができる。それだけ、社員に深く浸透しているものだと言える」――。Microsoft グローバルコミュニケーションのゼネラルマネージャーであるTim O'Brien氏はこう切り出す。

 2014年2月にSatya Nadella氏がCEOに就任。すでに2年を経過した。そのNadella氏が最初に打ち出したのが、「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションステートメントだ。

Nadella氏が打ち出した、現在のMicrosoftのミッションステートメント
Nadella氏が打ち出した、現在のMicrosoftのミッションステートメント

 Microsoftの創業者であるBill Gates氏は、今から約40年前に、すべての机とすべての家庭にコンピュータを届けることを目標に掲げた。当時としては、とてつもない野望であったが、その目標はすでに達成されており、われわれの身の周りでは、複数台のコンピューティングデバイスを所持するといった使い方が一般化してきている。

 そうした中でMicrosoftは、次代に向けた方向性を再発見しなくてはならなかった。Nadella氏が就任して最初にシニアリーダーシップチームに求めたのが、新たなミッションステートメントを作ることだったという。そこで打ち出されたのが、このミッションステートメントであったというわけだ。

Microsoft グローバルコミュニケーション ゼネラルマネージャー Tim O
Microsoft グローバルコミュニケーション ゼネラルマネージャー Tim O'Brien氏

 O'Brien氏は「すべての家庭にPCを1台ずつ設置するというミッションにおいては、Microsoftは勝利を手にしてきた。だが、次の挑戦は何か。そこでもう一度、原点に戻り、社内のシニアリーダーシップチームが考えたのは、企業の生産性を高めること、個人の生活を豊かにすることが、われわれのミッションになるということ」と解説した。

 「全世界の60%の人々が、いまだにネットワークにつながっていない状況にあり、格差が生まれている。Microsoftが対象にしているのは先進国だけではない。地球上すべての個人と組織が対象であり、個人をエンパワーメントし、国が経済発展できるように、コンピューティングを提供し、より多くのことを達成できるようにすることが必要になる。Microsoftのミッションステートメントは、そうした狙いが込められたものである」

モバイル市場ではチャレンジャー

 もうひとつ、Nadella氏が打ち出した言葉に「モバイルファースト、クラウドファースト」がある。

 O'Brien氏は、「このメッセージは、われわれが住んでいる、今の世界を表したものである。クラウドに依存した環境で、マルチデバイス、マルチプラットフォームを活用しているのは、まさにクラウドファーストの世界。そして、モバイルファーストは、デバイスがモバイルということを指しているのではなく、体験がモバイルであるということを指している。こうした体験にスムーズに移行していくことが大切である」と解説する。

 だが、モバイル市場でのMicrosoftの存在感は決して高くはない。それはMicrosoft自らも認めていることであり、その分野では自身を「チャレンジャー」と称する。

 O'Brien氏は「Microsoftは、PC市場で勝つことができるポジションにあった。だが、モバイルファースト、クラウドファーストの時代では、マルチデバイスの時代になっており、複数のプラットフォームからユーザーは選択することができる。その市場でMicrosoftのシェアは決して高くはない。そして、今はPCが中心となっている時代ではない。Microsoftは、もはやWindowsが世界の中心ではないことを認識している。それを強く認識した上で、これまでとは違う社内文化へと変革していく努力をしているところだ」と語る。

 Microsoftでは、「Growth Mindset(成長のための考え方)」という言葉で同社が目指す新たな社内文化を表現する。

 顧客にこだわり、多様性と包括性をひとつのMicrosoftとして実現。それによって、新たな違いを作っていくというものだ。

 この考え方の根底には、著名な米心理学者であるCarol Dweck氏のマインドセットに関する書籍が強く影響しているという。偉大な業績に満足したり、固定概念に縛られたりすることで、成長を追うことや夢を追うことを止めてしまう個人や企業がある。それは、個人や企業が一瞬でも完璧であると思ったときに起こるものだという。

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