「Growth Mindsetは、Microsoftの社員全員が共通で持っている考え方となった。成長に向けてチャレンジすること、殻を作らないこと、イノベーションに向かっていくこと、仮に目標が達成できなくても、次の成長に向けて努力をすること、自分たちの成長だけでなく、顧客の成長も支援していくこと。そして、ミッションを成功させるためには、チームが守りに入ることがないといったことを文化として定着させようとしている」
Microsoftが打ち出した「成長のための考え方」は、まさに、自らの立場をチャレンジャーとして認識して、そこからすべての物事を考えていくということが土台となっており、だからこそ、「モバイルファースト、クラウドファースト」という言葉を通じて、自らが出遅れた分野に最優先で投資していくという姿勢につながっていると言えるだろう。
これからはデバイスが人間に適応
Microsoftが掲げる3つの野心と呼ばれるものがある。
それは、「プロダクティビティとビジネスプロセス」「インテリジェントクラウド」「パーナソルコンピューティング(Windows10とデバイス)」という3つで構成されるものだ。
1つめの「プロダクティビティとビジネスプロセス」では、生産性が人間の進歩のためのエンジンと位置付け、そのためのツールを提供することを目指すことになる。
「プロダクティビティ(生産性)といった場合に、生産性を上げてもっと仕事することを指しているとの誤解がある。目指しているのは、同じ時間内で生産性を高め、達成するものやレベルを高めていくこと。これを、仕事でも生活でも実現していくのが、Microsoftの目指すプロダクティビティであり、ビジネスプロセスの変革である」
2つめの「インテリジェントクラウド」は、「2016年に最も多くの投資をしていく分野であり、Microsoftのハイパースケールのクラウド環境を生かすとともに、人工知能や機械学習といった領域でも進化を遂げることになる」
一例として挙げたのが、同社が取り組んでいる「Project Oxford」だ。
これは、Microsoft Researchが取り組んでいる機械学習の成果のひとつであり、言語APIを提供することで、スマやタブレットなどのさまざまなデバイスで音声やテキスト、画像認識を活用したサービスを実現するものだ。
映像を理解する「Computer Vision API」、笑顔や怒っている様子などを認識する「Emotion API」、音声を認識する「Speaker Recognition API」、周りの騒音の中から目的とする音声だけを抽出できる「Custom Recognition Intelligence Service(CRIS)」など10のAPIをすでに提供しており、これを活用したアプリやサービスを作ることができる。
さらに、Skypeによるリアルタイム翻訳機能「Skype Translator」もインテリジェントクラウドを実現する技術のひとつだ。Skypeで対話する際に自分の国の言葉で画面の向こうの他国の人に話しかけると、相手の国の言語に変換し、しかも発声してくれる。

2016年に最も投資していくというインテリジェントクラウドのポイント
3つめの「パーソナルコンピューティング」では、これまでのPC中心の時代には、人間がデバイスに適応していったが、これからのモバイルファースト、クラウドファーストの時代には、デバイスが人間の方に適応していくことになると前置きし、「マウスとキーボード、タッチ、ジェスチャ、サウンドで自然な形でデバイスにインプットしてコンピューティングを体験できる世界が訪れている。仕事での体験と家庭での体験もシームレスに体験できるようになる」とする。
特にWindows10では、エンタープライズクラスのセキュリティとデータ保護機能を実現しており、これがスマホの世界でもユニークな競争力につながるとする。Continuum機能でPCとしての利用に拡張できること、15億台のPCの実績をもとにアプリをスマホに移行しやすい環境を作ることも重要な取り組みだとする。
「Windows Phoneはわずか1.5%のシェアしかないが、今後は、大きなチャンスがあると考えている」