フリーのエンジニアが企業でマネジメントを担う時代へ

野本纏花 2016年03月26日 07時00分

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 かつてフリーランスの力が企業で求められたのは、猫の手も借りたいほど人が足りないときの、まさに“猫の手”としての役割だった。しかし、昨今ではウェブ業界のエンジニアを中心に、フリーランスが企業と対等に渡り合い、重要なプロジェクトのマネジメントを行うケースまで出てきているのだという。

 企業は今、フリーランスエンジニアに何を求め、対するフリーランスはどのような思いで企業と関わっているのだろうか。変わりゆく企業とフリーランスエンジニアとの関係性について、レバレジーズで、コーディネーターを務める石川氏に話を聞いた。

レバテックのコーディネーターとしてフリーランスと企業とのマッチングを行う石川氏。週2~3日参画の案件は、ダブルワークをするエンジニアに人気だという
レバテックのコーディネーターとしてフリーランスと企業とのマッチングを行う石川氏。週2~3日参画の案件は、ダブルワークをするエンジニアに人気だという

フリーランスを活用する企業が増加する背景にあるものとは?

——石川さんの感覚として、フリーランスに案件を依頼する企業は、増えていると思いますか?

 そうですね。確実に増えていると感じます。企業規模にもよりますが、1つのプロジェクトに対して、フリーランスエンジニアの方が半数を占める場合もあります。

——なぜ企業は正社員を採用するのではなく、フリーランスへの依頼を選択されるのでしょうか?

 今エンジニアの売り手市場が一因としてあることは、間違いありません。新興のベンチャー企業や、中小企業では、エンジニアの中途採用がかなり難しい現状になっています。正社員として雇いたくても、雇えないというのが実際のところだと思います。

 加えて、プロジェクトの進行スピードが速すぎて、正社員を育てるための時間的な余裕がないというのも、理由の1つに挙げられるのではないでしょうか。その点、フリーランスは雇用契約ではないため、プロジェクトの進行や事業の状況に応じて、フレキシブルな人員構成を組めるというメリットがあります。

——では、派遣社員を採用するのではなく、フリーランスを選択する理由は何ですか?

 一概には言えませんが、フリーランスの方が派遣社員に比べて、スキルが高い傾向があるからでしょうね。フリーランスの中には、ご自身でサービスやアプリを作っている方もたくさんいらっしゃいます。そのため、企業が高いスキルを求める場合には、フリーランスへ依頼することが多いのだと思います。

——企業がフリーランスエンジニアに求めている“スキル”とは、具体的に何なのでしょうか。

 プロジェクトの途中からアサインされる場合は、まずは自社の開発言語とフリーランスエンジニアの方の使える言語がマッチしているかどうかですね。人気が高いのは、やはりPHP・JavaScriptやRubyあたりです。iOS/Androidアプリ開発の案件も多いため、JavaやObjective-Cも需要があります。ただ、本当にスキルのあるフリーランスエンジニアの方は、あまり言語にはこだわりがないように感じられます。常に学習意欲を持って、どこでも能力を発揮できるような準備をされています。

 言語と同等以上に求められるのが、コミュニケーション能力です。最近のウェブ系の企業では、仕様書がほとんどないままプロジェクトを進めるケースも多いんですよね。例えば毎週イベントが発生するようなソーシャルゲームを思い浮かべてもらうと分かりやすいと思います。そうした中で、参画した企業が望んでいるものを精巧に実現しようとすると、“頭の中で仕様書をイメージしながら、口頭でお互いの認識をすり合わせていく”という作業が、非常に重要になります。

——なるほど。では、フリーランスの方の作業は実装が多いのですか?

 大多数は実装ですね。ただ、数は多くないですが、プロジェクトマネージャーなど、マネジメントを担当するケースもあります。最初はメンバーから参画して、その後リーダーからプロジェクトマネージャーになるケース。他には、複数のチームで構成されているような、規模が大きなプロジェクトでも該当する可能性があります。そういった場合には、何人ものプロジェクトマネージャーが立っているケースがありますので、フリーランスの方がいきなりプロジェクトのマネジメントを行うこともあります。

——そうした場合、社内から不満の声はあがりませんか?

 あまり聞かないですね。フリーランスの方がプロジェクトマネージャーとして参画する場合は、社員の方とのスキルの差が明確にある場合が多いので、社員の方に「これを機会に勉強させてもらおう」というモチベーションが発生するからだと思います。

——フリーランスには社員の教育的な側面も期待されているということですか。

 契約内容にもよりますが、OJTのような形で社員をフリーランスの方のそばに置いて、スキルアップを図るという話はよく聞きます。

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