コストダウンが身上のSAPが仕掛ける売り上げアップ技術

末岡洋子 2016年03月23日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 SAPが、コマース、CRMなどフロントエンドで積極的に展開する。鍵を握るソフトウェアはSAP Hybrisだ。2013年に買収したHybris Commerceを基盤とし、SAPのCRM、MarketingもHybrisとして編成した。Hybrisが2月、本拠地であるドイツのミュンヘンで年次イベント「SAP Hybris Summit 2016」を開催した。SAPの取り組みについて、SAP Hybrisソリューション事業本部 事業本部長を務める高山勇喜氏に日本でのトレンド、市場戦略について聞いた。

--企業はHybrisをどう活用しますか?

SAPジャパンでSAP Hybrisソリューション事業本部 事業本部長を務める高山勇喜氏
SAPジャパンでSAP Hybrisソリューション事業本部 事業本部長を務める高山勇喜氏

 HybrisはCommerce、CRM、Marketingを主力製品とし、これらを利用して顧客の購入行動のすべてを管理するという製品です。Hybrisを利用してウェブサイトを作成し、そこでの顧客の挙動を管理できます。たまたま来た顧客もいれば、よく訪問する顧客もおり、購入活動は異なりますが、Commerceにより何を買い、何を買わなかったのかなど、サイトでの挙動すべてを管理できます。

 実際に購入すると、CRMにそのデータが行き、個人別にいつ、何を買ったのか、定期的に同じものを買っているのかなどが分かります。POS端末からのデータも入るので、店舗も展開しているなら店舗での購入行動も分かります。

 これにより、特定の顧客について店舗で買う傾向が強いのか、ネットで買うのが好きなのかなどの行動属性も分かるのです。Commerceでオンライン、CRMで個人の行動がわかり、これらがすべてHybris Marketingに流れます。

 Marketingでは、同じような行動をとる顧客がどれだけいるのか、どの地域にいるのか、あるいは視点を変えて特定の地域で性別、年齢ごとの購入トレンドなどのバスケット分析も可能です。

 重要なのは、”カスタマージャーニー”、つまり個人顧客の動きが分かることです。つまり、最終的にネットで購入したとしても何が引き金になってネットで買ったのかが重要ですが、その分析ができます。

 たまたまサイトに来た顧客もいれば、こちらが送ったメールのリンクをクリックしてきたのか、テレフォンマーケティングでの結果なのか……。店舗の専用端末でオンラインサイト用のユーザーIDを作成し、最終的に自宅でネットで買ったという場合もあるかもしれません。「この製品はメールで送ってリンクに流した方が売れているようだ」「あの製品はLINEやFacebookからの方が売れやすい」といった情報を把握することで、売り上げアップが図れます。

 Marketingを活用しながらCommerceに引き込んで購入につなげ、データがCRMに流れて……とサイクルを回すことにより、顧客の囲い込みが可能になります。ロイヤルカスタマー向けのプログラムをもっと満足度の高いものに改善したり、購入単価の引き上げや個数増加を効率良く促せます。

ソリューション

--デジタルマーケティングについて、最近気づくことはありますか?

 HybrisはBtoB、BtoCと両方に向けたものですが、日本ではBtoBが伸びています。

 メーカーの代理店同士のBtoB、国外の顧客が日本のサイトで商品を買う越境ECような場合などで利用されています。例えば、自動車のパーツメーカーや住宅リフォームなど、多数の商品を取り扱う場合、組み合わせが難しかったり、商品に賞味期限があったり、部品が合うのかどうかの問題があったり、セット販売やメーカーにより割引率が異なるなどのことが考えられます。これまでは、担当者が「数日中にお返事します」と持ち帰っていたものが、Hybrisのアプリなら瞬時に確認や計算ができます。

 国外では値引き交渉が習慣となっており、現地スタッフが勝手に値引きをしてしまうことがありますが、Hybrisではセット販売を守らせるなどのをガバナンスも可能です。また、多言語、多通貨、多税制対応なので、越境ECで利用できます。

 日本企業にとって海外進出は大きな課題で、これらがポイントとなりHybrisを選ぶ顧客が増えています。ブランド別、商流別の価格設定や売値設定も可能です。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化