Adobe Systemsは米国時間3月22日、個人単位のマーケティングを可能にするクロスデバイスの消費者認識ネットワーク「Adobe Marketing Cloud Device Co-op」を発表した。
このソリューションは、参加企業が匿名データを組み合わせることで、複数のデバイスを利用する顧客に対するターゲティングを効果的に行えるようにすることを目指している。その狙いは、ログインをせずに異なるデバイスから異なるサイトにアクセスしたユーザーを、アルゴリズムを用いて同一の人物であると識別することだ。
この仕組みを利用すれば、データのプライバシーは守りつつ、消費者は人をベースにした、個人に合わせた適切なマーケティングを受けられるようになる。
Adobeは次のように説明している。
Co-op会員企業は、消費者の個人情報を完全に隠すためにAdobeに暗号化およびハッシュ化されたログインIDとHTTPヘッダーデータへアクセスさせます。Adobeは、このデータを処理して、非特定の個人または家族が使用するデバイスのグループ(デバイスクラスタ)を作成します。次に、Adobeがデジタルマーケティングソリューションを通じてそれらのデバイスのグループを明らかにすると、Co-op会員企業はそれらのデバイスを利用している個人を対象に、測定、セグメント化、ターゲティング、広告配信できるようになります。
プライバシーに関しては、個人情報は開示されず、個人のサイト閲覧情報がCo-op会員企業間で共有されることもない。共有されるのは、デバイス間のリンクの情報だけだ。消費者は、自分にリンクされているデバイスと、参加企業の情報を知ることができ、オプトアウトすることもできる。また、Adobeは会員企業向けのプライバシーツールを作成する予定だという。
Adobe Marketing Cloudの製品マネージャであるAsa Whillock氏は、Adobeはこの仕組みの世話役の役目を果たし、各会員企業がパズルのピースとなるデータを持つ形になると述べている。「われわれは、ログイン情報やIPアドレスの力を利用して、決定論的リンクに対して確率論的ターゲティングを行う」とWhillock氏は述べている。
また、Adobe Summit初日の終盤では、動画サービスに関する一連の発表が行われた。同社は複数のプラットフォームをまたいだテレビの視聴状況を計測して、個人に合わせたマーケティングやコンテンツ提供をする取り組みを進めているほか、ケーブルテレビとのパッケージ契約に縛られることなく、複数のデバイスでテレビを視聴できるストリーミングツールを開発している。
その他、注目すべき情報は以下の通り。
- 「Adobe Exchange」にアップデートが提供される予定であり、「Microsoft Dynamics CRM」やその他のパートナーとの連携機能が追加される。
- 同社はcomScoreおよびNielsenと協力して、複数のスクリーンをまたいだ利用状況を追跡する「Adobe Certified Metrics」の提供を開始した。
- 同社はラボで開発中の新しい機能やサービスに対するプレビューを、Adobe Summitで披露する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。