富士通、光伝送システムラインアップを大幅拡充

NO BUDGET

2016-03-23 19:32

 富士通は3月23日、機能ごとに機器を分割したディスアグリゲーション構成を採用する次世代グローバル光伝送システム「FUJITSU Network 1FINITY」シリーズのラインアップを4ファミリに拡充し、光伝送ネットワークの構築に必要となるトランスポート、WDM、スイッチ、アクセスの各機能をそれぞれブレード(一部シェルフ型も含む)として提供すると発表した。価格は個別見積り。

 通信事業者に加えデータセンターオペレーター等の顧客にも幅広く提供し、北米市場を皮切りに2016年度第1四半期(4-6月期)から販売を開始、順次グローバルに展開していく。

 これまで光伝送システム市場では、ネットワークインフラの効率的な整備や運用を図るため、光伝送ネットワークに関連した各機能を1台に集約するオールインワン化が進められてきた。しかし近年は、国内外におけるネットワークサービスの急速な変化に、投資の最適化を図りながらいち早く対応していくことが求められている。

 そのため、初期投資を抑えながら迅速なネットワーク環境の構築を可能にし、個別の機能追加や性能改善を図ることが可能なディスアグリゲーション構成の光伝送システムへのニーズが高まっているという。

ディスアグリゲーション構成 イメージ図(富士通提供)
ディスアグリゲーション構成 イメージ図(富士通提供)

 1FINITYシリーズは、こうしたニーズに対応してトランスポート、WDM、スイッチ、アクセスの機能ごとにディスアグリゲーションし、それぞれの機能を各1RUサイズのブレード化した新たな光伝送システムとなっている。

 主な特徴は以下の通り。

ネットワーク構築の投資最適化を実現

 各機能の中から、必要なものだけを選択してスモールスタートを図ることが可能なため、ネットワーク構築にかかる初期投資の削減と、需要に応じた段階的な増強投資が可能。また、それぞれの機能が個別の機器として独立しているため、最新技術の適用や継続的な性能改善を機能ごとに迅速に行うことができる。

富士通の既存光伝送システム製品との高い互換性

 富士通の既存の光伝送システム「FLASHWAVE」シリーズなどと高い互換性を備え、それらの製品をベースに構築された既存のネットワークに対する機能の拡張や補完が容易に行える。

ネットワークの自動化と仮想化への対応

 富士通のSDN/NFVソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora」シリーズと組み合わせることにより、ディスアグリゲーション構成を採用したネットワークの自動化や仮想化を容易に実現することが可能。

オープンアーキテクチャー採用による、他社製品との高い接続性

 オープンアーキテクチャーを採用しているため、他社のネットワーク機器との相互接続が可能。また、オープンAPIによる標準インターフェースを採用することで、様々なSDN制御ソフトウェアを通じたOSS(Operation Support System:通信事業者がサービスを構築、運営していくために必要なシステム)、BSS(Business Support System:通信サービス利用者への課金や請求などの情報管理業務を支えるシステム)との連携も容易に実現できる。

 各機能はファミリの形で提供され、必要な仕様を組み合わせて利用可能。それぞれの機能は以下の通り。

トランスポートファミリ

 メトロ網(都市圏)、コア網(都市間)、および長距離向けに大容量トランスポート機能を提供。

  • T100 メトロ網のデータセンター間専用の光送受信機で、800Gbpsの伝送容量を実現(2015年8月18日に発表済み)
  • T200 長距離専用の光送受信機。最新の高性能コヒーレントDSPを搭載したことで、超高速(最大400Gbps)・超長距離(1万km以上)伝送に対応。さらに、光変調方式を複数選択可能にする適応変調技術も適用
  • T300 メトロ網からコア網、長距離まで幅広く対応可能な光送受信機で、1Tbpsの伝送容量を実現。10G、40G、100Gを多重化して効率的に伝送
FUJITSU Network 1FINITY T200(富士通提供)
FUJITSU Network 1FINITY T200(富士通提供)

Lambdaファミリ(WDM機能)

 4方路、128波長まで対応可能な小型CD(Colorless Directionless) ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)機能を提供し、目的に応じて柔軟な波長配置、方路切り替えが自動設定可能。今後リリースするブレードを追加することで、より多くの方路数に対応可能となる。

  • L100 ROADM主要部(波長の方路切り替え)
  • L110 スプリッター/カプラー部(波長を多重化し、ROADM主要部へ転送)
  • L200 光中継増幅機(波長多重化された光を増幅・中継。長距離専用)

スイッチファミリ

 高密度イーサネットスイッチ機能を提供。イーサネットVPN、モバイルバックホールトラフィックやデータセンター間接続を効率的に多重化し、シームレスに光コアネットワークに接続。

  • S100 1Gbps/10Gbpsイーサネットを100Gbpsイーサネットにアグリゲーションする必要のあるネットワーク向けに、1.2Tbps双方向スイッチ容量を提供

アクセスファミリ

 10G EPONやNGPON2などの次世代アクセステクノロジーに対応し、家庭向けや企業向け光通信サービス、およびモバイルフロントホール向けアクセス網に、10Gbps光アクセスネットワークを実現。

  • A600 最大32本の10G EPONポート(2048 ONU)を収容可能

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]