海外コメンタリー

なぜハッカーは医療機関を執拗に狙うのか--IoT時代への警鐘 - (page 2)

Michael Kassner (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 編集部 2016年03月29日 06時15分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 異種混在環境は以下のような問題を引き起こす可能性がある。

  • 異なるテクノロジを導入した場合に、ソフトウェアやハードウェアの脆弱性が顕在化する。
  • システムに異なるテクノロジが混在することで、適切な管理が困難になる。
  • ハードウェアコンポーネントのサポートが打ち切られる。
  • ソフトウェアのサポートが打ち切られ、更新やパッチが提供されなくなる。

 報告書は次のように警告している。「特に10年以上前のレガシーなシステムは、極めて危険な状態にある。そうしたシステムに重要なデータが保管されている場合、ハッカーは容易にそれらのデータにアクセスできる。にもかかわらず、レガシーなシステムは往々にしてインフラストラクチャの深部に統合されており、容易に置換できない」

専門家の不足

 報告書は医療関連機関で情報漏えいが頻発する原因の一つとして、サイバーセキュリティ専門家の不足も指摘している。だが、これは特に目新しい話ではない。サイバーセキュリティの専門家には複雑かつ高度な専門知識が求められる。そこに医療関連機関が求める厳格な要件が加われば、資格を満たす専門家の数が不足するのは当然だ。たとえば、以下の資格を満たす専門家がどれだけいるか考えてみてほしい。

  • 最低でも大卒以上(しかし大半の求人は、それ以上の学歴や長年の実務経験を要求している)。
  • 会計、HIPAA、HITECH、PCI DSSの知識。

考えられる対策

 報告書は、専任のセキュリティチームによって管理される、情報セキュリティプラットフォームの構築が急務だとしている。「医療関連機関は、情報セキュリティを各部門で分散管理する代わりに、セキュリティチームとシステムオペレーションセンター(SOC)を設置し、システムセキュリティのガバナンスを中央管理すべきだ。SOCは全セキュリティシステムのアクセス、監視、防御における中枢として機能する。変更管理やアクセス制御など、組織全体で運用するアプリケーションも、SOCを通じて管理する」

 次に、報告書はポリシーと作業手順を明確に定義することの必要性も説いている。「情報セキュリティチームは、組織構造に適した明確で簡潔なポリシーを定義し、経営陣の承認を得る必要がある。ポリシーの施行は、情報セキュリティに対する従業員の意識向上にも寄与する」

 報告書は以下のようなポリシーを推奨している。

  • 情報セキュリティに関するポリシー: 情報セキュリティに対する従業員の意識向上を後押しする。
  • ガバナンスに関するポリシー: コンプライアンスの要件、基準、実施要項について定義する。
  • 役割や責任範囲に関するポリシー: 従業員の情報アクセス範囲と説明責任について定義する。

総括

 報告書の最後は、われわれの置かれた現実を包み隠さず伝える見解で結ばれている。

 「米国の生命線となるインフラストラクチャの中で、医療関連機関は最も対策が遅れており、最も標的とされている分野である。爆発的な普及を見せるIoTが、皮肉にも医療関連機関に対する攻撃のハードルを劇的に引き下げる役割を果たそうとしている。今や興味本位のアマチュアハッカーが、医療関連機関に壊滅的な打撃を与える可能性がある。また、営利目的のハッカーがあらゆる経路からシステムに侵入し、高値の付く情報を窃取する可能性がある。そして諸外国政府のサイバー攻撃部隊が、無防備なシステムから将来の諜報活動や敵対行為に役立つ情報を引き出す可能性がある」

 医療関連機関に保管されている情報がどれだけ重要で、どれだけプライベートなものなのかを考えると、暗澹たる思いになる。この現状に正しく対処するためには、いったいどれだけの労力が必要になるのだろうか。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SpecialPR

連載

CIO
教育IT“本格始動”
月刊 Windows 10移行の心・技・体
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
セキュリティインシデント対応の現場
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft Inspire
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]