ボット管理も含めてクラウド型セキュリティサービスの需要は今後も一層高まるだろう。IoT(Internet of Things)時代になれば、セキュリティ対策の決め手になると筆者は見ている。その意味でもアカマイの今後の事業展開に注目しておきたい。
「新技術で作業現場のワークスタイルを変革したい」 (富士通研究所 沢崎直之 プロジェクトディレクター)
富士通研究所の沢崎直之 プロジェクトディレクター
富士通研究所が先ごろ、拡張現実(Augmented Reality:AR)技術を採り入れて単眼カメラで遠隔現場の全景が把握できる作業支援技術を開発したと発表した。同研究所のユビキタスシステム研究所ユビキタスデバイスプロゲクト プロジェクトディレクターを務める沢崎氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新技術の狙いについて端的に語ったものである。
新技術は保守点検などの現場において、作業者側のカメラで撮影した時系列画像から、広範囲にわたる作業現場の全景がわかる3次元パノラマ合成画面を生成し、AR技術と組み合わせることで、遠隔支援者が作業者に対して全方位で的確に指示可能な作業支援を展開するものである。
沢崎氏らのプロジェクトは、現場での熟練作業者の不足に伴い、経験不足の現場作業者に対して熟練者が遠隔で作業を支援する技術に着目。ただ、作業者側のカメラ画像を使った遠隔支援技術は一般的に映る範囲が狭くブレもあるため、遠隔支援者が現場の状況をつかみづらいという問題があった。
今回の遠隔での作業支援技術では、作業者側のカメラ画像から作業者の位置や向きを推定することにより、複数枚の画像を立体的に配置した3次元画像を生成。これにより、遠隔支援者は現場の様子を任意の視点から把握し、作業者の位置と向きに連動したAR情報として、現場の作業者に的確に指示できるとしている。
新技術のさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは富士通研究所が今回開発した作業支援技術のほかにARをどのように活用していこうと考えているのかといった点に注目したい。
会見の質疑応答でそう聞いたところ、沢崎氏は「今回開発した技術をベースに、基本的な考え方として、一人ひとりの作業を支援するというよりも、人と人をつないで遠隔で支援することが有効な用途にARを生かしていきたい。物流や建設、小売りなど、さまざまなシーンに適用できると考えている」と答えた。
ARについては、AppleやFacebook、Microsoft、Googleなども研究開発に取り組んでいる。そうした中で、富士通研究所が今回の作業現場向けを皮切りに、どのようにARの活用領域を広げていくか。注目しておきたい。