IDCフロンティア(IDCF)とヤフー(Yahoo! JAPAN)は3月25日、福岡県北九州市の「北九州データセンター」と福島県白河市の「白河データセンター」に、それぞれ新棟を建設すると発表した。
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北九州データセンター
北九州データセンターは、西日本で最大規模の広大な敷地を有し、需要に応じて1棟ごとに建設するモジュール方式と、サーバの冷却に外気を取り入れる外気空調方式を採用した環境対応型のデータセンター群。2008年に1号棟の運用を開始し、その後増設を進めており、将来は最大11棟まで建設が可能。
北九州データセンター6号棟完成予想図(IDCF提供)
北九州市は地震、津波などの自然災害が発生するリスクが非常に低く、東京や大阪など首都圏に集中するシステムの移設や分散など、災害復旧(DR)の拠点としても有利な立地とされる。
こうした条件から、クラウドサービスにおいては西日本地域の提供拠点、外販のハウジングサービスなどにおいては東京と大阪に集中するシステムの地理的分散や電力供給会社の分散により事業の継続や災害対策に機能を発揮すると位置付けられている。将来的な拡張余力があることから、大規模需要の企業ニーズにも応えるという。
今回の6号棟では、Yahoo! JAPANとIDCFのクラウドサービスに加えて、外販での利用を予定。6号棟では、サーバから出る排熱を冷やすための空調ユニットとして、新たに水冷空調システムを採用しており、従来のデータセンターで一般的な空冷空調システムと比較して、高負荷時の空調電力抑制を見込んでいる。
6号棟の仕様
- 建設規模:約610ラック規模
- 工期:2016年2月~12月中旬(約11カ月)
- 敷地面積:約2900平方m(倉庫棟含む)
- 延床面積:約5200平方m(倉庫棟含む)
- 建物構造:鉄骨造
- 建物規模:地上3階
- 床荷重:1200kg/平方m
- 空調方式:水冷空調システム
白河データセンター
白河データセンターは、広大な敷地により随時の拡張が容易な地方型データセンターの特徴と、郊外型データセンターと同等のネットワークレスポンスを併せ持つデータセンター。
白河データセンター4号棟完成予想図(IDCF提供)
大量のデータや多くのセッションを扱うアプリケーションにおいてサービスのレスポンスを左右する一因ともなるレイテンシに関しては、ネットワークの伝送路を直線距離に極力近づける最短経路で設計し、中継ノードも可能な限り少なくすることにより、物理的な距離に比例しない高速なネットワーク環境を提供、東京~白河間でありながら3.5ミリ秒前後を実現。
これは一般的な東京近郊に位置するデータセンターと同等の応答速度で、東京~大阪間(10ミリ秒前後)の約3分の1、北海道と九州(15ミリ秒前後)に比べ約4分の1、沖縄(35ミリ秒前後)に対しては約10分の1という。
今回の4号棟では、2016年3月に第1期分が竣工した3号棟に引き続きYahoo! JAPAN向けに増設され、増加を続けるデータの格納や、Yahoo! JAPANが保有するマルチビッグデータを活用するための処理基盤強化を目的としている。1社専用とすることにより、設置する機器の画一化と動作環境を絞り込み、設備の許容範囲も小さくして無駄を排し、建物の工期を短縮して効率の高いサーバの収容を実現できるという。
建物は3号棟と同様に、需要に応じて建設を行うモジュール方式を採用しており、今後見込まれる需要の変化に迅速かつ柔軟に対応するという。また平屋型へダウンサイジングして工期を従来の1年から約半年に短縮、複数に分割した構造物を現地で組み立てる建設方式の採用と小規模モジュール単位での段階的な施工により、建設コストを最適化することができるという。
設備面でも3号棟と同じく、外気を導入して空調効率を高める間接外気空調方式を採用。空調ユニットはサーバルームのモジュールに直接接続され、白河の冷涼な気候も最大限活用、年間の電力使用効率(Power Usage Effectiveness:PUE)は設計値で約1.2を見込んでいる。
4号棟の仕様
- 建設規模:1棟あたり70ラック×全6棟、計420ラック規模
- 工期:2016年4月末~10月末(約6カ月)
- 敷地面積:約3400平方m(倉庫棟含む)
- 延床面積:約2300平方m(倉庫棟含む)
- 建物構造:鉄骨造
- 建物規模:地上1階
- 床荷重:1000kg/平方m
- 空調方式:間接外気空調+空冷空調システム