マッキャンエリクソンは3月29日、人工知能のクリエイティブディレクター「AI-CD β(エーアイ・シーディー ベータ)」が入社すると発表した。4月1日に開催する合同新入社員入社式典に、12人の新入社員とともに参加する。
AI-CD βは、ロボットアームに搭載された筆でCMのクリエイティブディレクションを紙に書き出す(マッキャンエリクソン提供)
AI-CD βは、2015年9月に発足のマッキャン・ワールドグループの「ミレニアル世代」(1980~2000年前半生まれ)のメンバーで構成するイノベーションプロジェクト“McCANN MILLENNIALS”が“Creative Genome Project”として開発したもの。
人工知能の開発のため、毎年優れたコマーシャル作品に送られるACC CM FESTIVALテレビCM部門の過去10年分の受賞作品のほか、さまざまなテレビCMを構造分解し、独自にタグ付けした。
AI-CD βは、この人工知能により、データベース上から商材や訴求内容に応じて最適なCMを作るためのクリエイティブディレクションを実施できる。またAI-CD βは、CMを制作するだけでなく、制作したCMの評価をフィードバックすることで、プロジェクトを実行するたびに学習と成長をしていくよう設計されているという。
AI-CD βは今後、クリエイティブディレクターとして担当クライアントを持ち、クリエイティブブリーフに応じたCM制作のディレクションを行っていく予定。AI-CD βを使用することで、これまでクリエイターの暗黙知とされていたCMの制作を、過去のテレビCMのデータを基にクリエイティブディレクションを構造化し、可視化した形でクライアントに提供できるという。
代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の片木康行氏は、次のようにコメントしている。
「音楽、小説、映画、ドラマなど、すでに多くのエンターテイメントの創作活動において人工知能が活躍している中で、未来の広告制作の形として、AI-CD βの活躍に注目しています。会社としても初めての人工知能社員AI-CD βの育成を応援したいと思います」
また、McCANN MILLENNIALSを立ち上げた制作本部クリエイティブプランナーの松坂俊氏は、次のようにコメントしている。
「現在、McCANN MILLENNIALSチームにクリエイティブディレクターがいないので、自分たちで人工知能にして作ってしまおうということで、“Creative Genome Project”を発足しました。これから、クライアントと仕事を重ねて、世界に名を残すクリエイティブディレクターに成長してほしいと思います」