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高校生が活躍、データ分析を駆使して「子育て」問題対策のビジネスアイデアを競う - (page 2)

取材・文:阿久津良和 構成:羽野三千世

2016-03-31 07:00

データから「近隣のママ友と交流したい」潜在的欲求を導出

 未来創造賞は、早稲田大学の「BMS」。「ママから“笑顔”を奪っている要因の解明」として、子育て感情にもとづいたクラスタリングを行い、そこからネガティブ群とポジティ群を抽出。このデータを基準変数としたランダムフォレストアルゴリズムを用いて重要度(寄与度)を算出した。そしてTeuvo Kohonen氏の自己組織化マップを適用し、子育て問題を構造化している。そこから見えてきた「経済・精神的負担」「親から援助を得られているか否か」「近隣住民との交流」という3つの項目を導き出し、近隣交流の改善にアプローチした。

 近隣交流の改善ポイントを明らかにするために、「1万人のママの声」をもとにした共起ネットワークを作成。ここから、近隣住民のなかでも特に同じママと交流したいという潜在的欲求を推察。日本財団のデータをもとにした決定木で「ママ友」がいる母親といない母親の違いを浮き彫りにし、子育てグッズの譲渡や販売で近隣ママ友との交流を生み出すアプリケーションを提案した。既存のオークション系アプリケーションの単方向モデルと異なり、循環モデルを生み出すことで、ママ友という交流を生み出せるという。


未来創造賞を受賞した杉山氏(左)と慶應義塾大学 総合政策学部 教授の古谷知之氏(右)

 慶應義塾大学 総合政策学部 教授の古谷知之氏は、BMSのデータ分析能力とプレゼンテーション能力を高く評価。受賞したBMSの杉山氏は「実際のデータを使った勉強をしたいというのが参加目的だった。子育ての当事者であるママに寄り添った分析と提案を心掛けたが、ファイナリストに残っただけでも嬉しいのに受賞できるとは思わなかった。この経験を社会に貢献したい」と感想を述べた。

データに見る母親の再就職支援の重要性

 日本マイクロソフト賞は、母親の再就職をサポートする「ママ塾」をプレゼンテーションした「3L」。成蹊高校などの9人で編成された高校生チームだ。国から支給される児童手当などをデータとした年間子育て費用額を算出し、全国に約97万世帯ある年収130万円未満の母子家庭では、子育て費用を差し引くと生活費が足りないため母親の再就職が必要になると説明。さらに、総務省や厚生労働省のデータから年間22万5000組の夫婦が離婚していること、出産退職が全体4割に上ることを導き出し、母親の再就職の必要性を強調した。


成蹊高校など9人で編成された3Lは、母親の再就職支援システム「ママ塾」を提案

 その上で、再就職時に仕事の仲介や復帰に向けた指導を行う「ママ塾」の提供を提案。企業側が求める人材スキルのギャップを埋めるため、必要なスキルやビジネスマナー、コミュニケーション能力を訓練しながら、マッチングシステムを用意する。ビジネスモデルについては、月謝制度や企業からの広告収入のほか、クラウドファンディングなども活用するとした。

 日本マイクロソフト ディベロッパーエバンジェリズム統括本部テクニカルエバンジェリズム部 部長の砂金信一郎氏は、「日本マイクロソフト賞は、伸び代の大きさに注目して選定した」と説明。「データ解析はドリルダウンやクラスタリングなど多彩な手法が存在するので、これからも学び続けてほしい」(砂金氏)。3Lのチーム代表の中川氏は、受賞に感謝を述べつつ、自身がフランスに滞在していた経験から、「日本には議論する場が少ないため、日本とヨーロッパの学生をつないで議論ができる場所を作り、ビジネスコンテンツにつなげたい」と将来の展望を明るく語った。

高校生自らが子育て支援の担い手になる

 高校生部門賞は、長野県屋代高等学校の3人による「恵比寿さんず」のプレゼンテーション「お母さんのリフレッシュのために高校生教育プログラム」。ベネッセ教育総研やHappy-Note.comのデータを引用し、母親と子どもが2人きりで過ごす時間は15時間以上が圧倒的多数で、90%以上の母親が自分の自由な時間を欲していると分析。そこに自分たち高校生が直接支援する方法として、「高校生教育プログラム」を提示した。

 「高校生教育プログラム」のパートナー企業として、コープ生活協同組合が行っている「にこにこルーム一時預かり」サービスへ参加する活動を提案。パートナーの選定にあたっては、校内の生徒や直接企業にヒアリングを行ったという。


高校生部門賞を受賞した恵比寿さんずのメンバーと慶應義塾大学大学院の渡辺美智子氏(右)

 審査員から「高校生のほかのアルバイトと競合するのでは」という質問に対しては、「金銭面よりも職業体験といったメリットが大きい」と回答。将来的には、学生向けの職業体験教育プログラムを提供するジュニア・アチーブメントジャパンと連携し、学校全体の取り組みに展開することを想定しているという。

 慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 教授の渡辺美智子氏は、恵比寿さんずの評価ポイントとして、高校生が子育てというテーマに対して自分たちができることを真剣に考えた点や、コミットする学生やビジネスを提供する企業側への取材といった行動を挙げた。受賞した恵比寿さんずのメンバーは、「各企業の素晴らしいサービスやインフラの力を借りながら、この高校生教育プログラムを全国に広げたい。データ分析について学び続けるために、来年もこのコンテストにチャレンジする」と感想を述べた。

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