本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、トレンドマイクロのEva Chen 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)と、米MicrosoftのPepijn Richter Dynamics製品マーケティングディレクターの発言を紹介する。
「これからの情報セキュリティ対策はライフサイクルマネジメントが求められる」 (トレンドマイクロ Eva Chen 代表取締役社長兼CEO)

トレンドマイクロのEva Chen 代表取締役社長兼CEO
トレンドマイクロが先ごろ、2016年の企業向け事業戦略について記者説明会を開いた。Chen氏の冒頭の発言はその会見で、新たに発表した統合ソリューションコンセプトの核心について語ったものである。
同社は2016年の企業向け事業戦略として、まず従来から展開してきたサーバ、ネットワーク、ユーザーの3つのレイヤに向けたセキュリティソリューションについて、それぞれ「クラウド&仮想化セキュリティ」「複雑化するネットワークの防御」「多様な環境におけるユーザーの保護」をテーマに製品、サービス群を拡充していくとした。
さらに、それらの製品やサービス群を連携させ、企業のIT環境における各ポイントでの脅威情報を俯瞰(ふかん)して一元管理することで、脅威に対する迅速な初動対応や原因追及調査、および感染被害範囲の最小化を実現する「Connected Threat Defence」(CTD)と呼ぶ統合ソリューションコンセプトを発表した。
3つのレイヤに向けた製品、サービス群の拡充における内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは統合ソリューションコンセプトに注目したい。
図に示したのが、その考え方である。Chen氏によると、「サイバー攻撃などの脅威が巧妙化する中で、もし防御をすり抜けて内部に侵入してきた脅威があれば、それを素早く検知して適切に対処し、ダメージを最小限に抑えなければならない。つまり、防御、検知、対処というライフサイクルをしっかりとマネジメントしていくことが、これからの企業の情報セキュリティ対策に求められるようになってくる」という。冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。

統合ソリューションコンセプト「Connected Threat Defence」の概要
そのうえでChen氏は、「2015年は統合ソリューションに取り組むことを打ち出し、CTDのコンセプトを形作っていくとともに、必要となる製品やサービス群を整備してきた。そして2016年、それらをいよいよお客様に提供できる態勢が整った。さらにCTDの下、パートナーとの連携も一層強化して、企業規模を問わず最適なセキュリティソリューションをお届けできるようにしていきたい」と力を込めて語った。