日立製作所 執行役社長兼CEO 東原敏昭氏
私たちを取り巻く環境はグローバルに日々変化しています。これまでは「環境に配慮した、安くて丈夫な空調機器が欲しい」というように、お客様から具体的な仕様を示されることが大半でした。しかし、最近では、「料理をおいしく食べてもらえる空間を実現したい」というように、「手段は任せるが、実現したいことはこうだ」、という要望が増えてきました。つまり、「モノ」ではなく「コト」を追求されるようになってきているのです。このことは、お客様のさらに先のお客様の考えも汲み取り提案しないと事業が成り立たたなくなった、ということを意味します。
日立製作所 執行役社長兼CEO 東原敏昭氏
私たちは、産業機器、材料といったプロダクツ、金融や公共分野におけるシステムインテグレーション、そして鉄道や原子力などの大規模プロジェクトでの経験を有しています。さらにITと制御技術をもつなど、きわめて有利な状況にあります。日立は製品やインフラ、そこにITと制御技術を組み合わせた 社会イノベーション事業をすでに展開しており、これまでの経験をもとに新しい「デジタルソリューション」分野で大きく飛躍したいと考えています。
昨日まで日立は、製品別のカンパニー制を導入していました。しかし、市場の変化に迅速に対応し、日立がさらに成長するためには、市場にあわせた事業体制にすることが必要となります。そこで、お客様ごとの特性にきめ細やかに対応するフロント、高度なサービスを提供するために必要不可欠なITや制御技術などのプラットフォーム、そして競争力ある製品を作り上げるプロダクト、という新たな考え方で成長をめざしたのが、今回導入したビジネスユニット(BU)です。
12のビジネスユニットを中心に、国内なら支社、海外なら地域総代表がフロントと一体となり、地域にあったソリューションを展開していきます。日立は新体制のもと、ベースとなるプラットフォームと製品のさらなる強化を図ると同時に、フロントBUがこれらを組み合わせ、「イノベーション」をサービスとして提供していくことで、急速に成長するIoTやデジタルソリューションの領域における競争優位性を高めていきます。
変化を捉え、この先どのようなことが起きるかを先読みし、そして先手を打つことが重要です。そのためには、あらゆることに関心を持ち、変化を感じるセンサを常に磨くことが大切です。そして、あらゆる事象を「自分には関係のないひとごと」としてではなく、「自分ごと」としてとらえ、私ならどう考え、どう行動する。 I do、I willと一人称で主体的に活動することに心がけてください。