東京大学先端科学技術センター(東大先端研)、ソフトバンク、ソフトバンクの教育事業子会社エデュアスは、4月1日から「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」が施行されることに合わせて、障がい児の学習・生活支援のための携帯情報端末の活用事例をまとめた報告書を作成。3月31日にウェブサイトで公開した。
同報告書では、東大先端研とソフトバンクグループが2015年4月から1年間実施した「魔法のプロジェクト2015 ~魔法の宿題~」協力校の取り組みをまとめたもの。同プロジェクトでは、認知やコミュニケーションの困難、自閉症スペクトラム、書字・読字障がい、知的障がい、肢体不自由、聴覚障がいなどをもつ児童生徒を対象に、スマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末を活用した学習・生活支援を行う事例研究を行った。
肢体不自由と気管切開により言葉を発することができない児童がタブレットを活用して意思を表出できるようになった事例や、重度の知的障がいにより快・不快などの感情を表現することが困難な生徒の睡眠状態を専用のアプリケーションで記録し、日常生活と照らし合わせることで睡眠の質に影響を及ぼす因子(食事、寝具、活動など)を家族や教師が把握できるようになった事例などが紹介されている。
障害者差別解消法の施行により、4月から国公立学校で「合理的配慮の提供」が義務化されることを受け、文部科学省は、「意思疎通が困難な児童生徒に対してタブレット端末などを活用して本人の自己選択を支援すること」「読み・書きなどに困難のある児童生徒のために、授業や試験でのタブレット端末などICT機器の使用を許可すること」など教育現場での合理的配慮に関する指針を2015年11月に策定している。今回公開された報告書は、教育現場における合理的配慮のための具体的な手立てとして、携帯情報端末の活用事例と成果を示したもの。