Linux搭載スマートフォンのユーザーは、ベンダー以外が提供する代替OSを使用するというアップデート方法を選択できる。そしてTorvalds氏は、この方法がLinuxを搭載した組み込み機器やIoTでも機能するかもしれないと考えている。Torvalds氏は、その一例として「Cyanogenは旧型のスマートフォン向けに、Androidのアップデート版を提供している。もしもベンダーがアップグレードを許すのであれば、こういったことを他の機器でも実現できるのではないだろうか」と語った。
Torvalds氏は全般的な状況について、「組み込み分野への取り組みは大変だったが、改善されてきている。人々は、カスタム化されたハードウェアを毎回設計するよりも、完璧さに欠けるとしてもコモディティ化したチップを購入する方が安く済むということを知った。特にARMコミュニティーでの改善が進んでいるため、カーネル担当の人々はARMの組み込みシステムに追随できるようになっている。まだ完璧ではないが、ずっと良くなってきている」との考えを示した。
今後の問題として、Torvalds氏はIoT機器同士のやり取りを挙げている。同氏の懸念は、スマートホームのハブに関して言えば、すべての機器を統制する共通のIoT標準がない状況になるというものだ。その代わりに、主要なIoT通信プログラムが3つか4つ出てくるのではないかという。
Hohndel氏の「TCP/IPによるネットワークが最終的に、トークンリングといったプロプライエタリなシステムを打ち負かした」という発言に対して、Torvalds氏は「標準が1つになることを望んでいるものの、IoTの接続に関してはそうなると思っていない」と述べた。
今後についてTorvalds氏は、「Linuxがこれからどうなるのかは分からない。その時その時で、できる限りの努力をするつもりだ。これまでも計画はほとんどなかった。Linuxは自然に成長してきた。わたしは5カ年計画など作らない。そんなことをしても骨折り損に終わるだけだと考えている。次のマージウィンドウ(編集部注:新しいリリースに向けて変更をマージするプロセス)でどういったことが起こるのかは分かっている。それがLinuxの素晴らしい点の1つだ」と述べた。そして同氏は、これによってLinuxはスマートな組み込みシステムやIoTで愛用されるOSという地位を保ち続けると確信している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。