IDC Japanは4月6日、は、国内データセンター事業者のビジネス動向に関する調査結果を発表した。それによると、2015年と2016年の2年間に、近畿地方(大阪府、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、三重県)で大規模なデータセンター新設/増設が相次ぐ見通しで、特に大阪府と兵庫県での新設および増設規模が大きくなっているという。
(IDC提供)
この2年間に近畿地方に新たに開設されるデータセンターの規模は、収容可能なラック本数に換算して約6800ラックに達する見込みであり、これは2014年末の近畿地方データセンターのキャパシティ(ラック本数ベース)に対し約12%の増加に相当する。
一方、このようなキャパシティ増加が、近畿地方のデータセンター市場における需給バランスを崩す要因となる可能性は低いとIDCではみている。これまで近畿地方では、免震構造ビルや高密度対応のデータセンターファシリティが少なかったため、顧客が既存データセンター内に設置されているIT機器を高スペックのファシリティに移設したいというニーズに十分な対応ができていなかった。
2015~2016年の大規模な新設/増設は、こうした潜在的な供給不足の状態を解消するものであり、一気に供給過剰に陥る可能性は低いという。
むしろ最新仕様のファシリティを備えた大規模データセンターの増加により、近畿地方におけるデータセンターの災害対策強化が本格化することになる。これによって西日本の企業や団体のシステム可用性が強化されるだけでなく、首都圏の企業や団体がバックアップセンターを近畿地方に開設する際の選択肢が広がることによって、東京と大阪の両方の地域のユーザーの便益を高めることにつながる。
近年、データセンターの利用に際しては、クラウドサービスを組み込んだ利用形態を採用することが一般的になりつつある。ここ2年間で近畿地方に新たに開設されるデータセンターにおいても、こうしたクラウドサービスを活用したIT運用が主流となるとIDCではみており、同社ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は「近畿地方のデータセンターにおける、ハイブリッドクラウド環境によるITサービス提供能力の拡充が、DCサービス事業者には求められる」と指摘している。