大木豊成「Apple法人ユースの取説」

Windows 10が登場した今、Macを導入する理由は - (page 3)

大木豊成

2016-04-08 07:26

Mac導入で分かる、少しダメな情シスと本当にダメな情シス

 さて、Windows 10という新しいOSが登場し、一方でMacのビジネスユースが本格化し、さらにはビジネスモバイルの選択肢にiOSだけでなくWindowsも加わった。このような環境で、企業の情シス担当者は今後どうあるべきなのか、考えてみよう。


 「攻めの情シス」という言葉がある。最近多くの企業内で使われるようになっている言葉だ。情報システム部門は企業内のソフトウェアや情報システム、ネットワークを担当しているため、社内向けサービスを粛々と行なうイメージが強い。しかし、今の時代には社内にもっと積極的に自分たちの存在をアピールしていく、攻めの姿勢を求められているのだ。旧来、情報システム部門は基幹系システムを担当し、一度導入してしまうとあとは保守、運用のみを担当する部署だった。そのため、社内ではさほど評価されず、トラブルが起きたときだけマイナス評価を受けることが多かった。「攻めの情シス」の言葉には、これからの情報システム部門は、プラス評価を加味すべく、もっと積極的にビジネス関わっていこうという意味合いが込められている。

 Window 10とMac、あるいはiOSとWindows 10 Mobileのどちらが自社の業務に向いているのか――。このような検討は、情シス部門が、ユーザー部門と日々コミュニケーションする風通しの良さがないと難しい。情シスの態度に非協力的な印象を持っているユーザー部門の人たちは、情シスに頼らないで外部のベンダーに直接コンタクトを取り、タブレットとクラウドサービスなどを利用して業務に必要なシステムを自分たちで用意してしまうケースも最近増えてきた。これでは情シスの存在意義が問われてしまう。だからこそ、今、「攻めの情シス」が必要になっているのだ。

社内で愚痴を言われる情シス、2つのパターン

 最後に、攻めの情シスの要件について触れたい。「情シスのメンバーで、サボっているわけでもないのに文句ばかり言われている」――そんな人に思い当たりはないだろうか。そのような人は、社内のことにあまり関わらず、できるだけ他部署と交流を持たないようにしているようだ。社内部署間の軋轢は、どちらかの部署だけの問題であることはほとんどない。しかしながら、前述のように、情シスが部署としての必要性を感じてもらえないのでは、存在すること自体が問題視されてしまう。攻めの情シスであるためには、情シス側からの歩み寄りが重要だと言えるのではないだろうか。

 文句を言われる、あるいは陰で愚痴を言われる情シスには2つのパターンがある。


 1つ目は、知識が足りないケースだ。IT企業ではない場合、情シス担当者が自社のシステムのこと以外はよく知らないことが多い。特に普段から興味を持って情報収集している人はいいが、そうではない場合、ともするとユーザー部門の人ほうが詳しいことがある。

 この場合、外に行けばたくさん情報を収集できるセミナーがあるし、展示会も多い。イベントに参加することで、情報が入ってくると同時に、視野が広がることも多いものだ。知識不足は収集することで補うことが出来る。努力を必要とはするものの、比較的簡単な話かもしれない。

 2つ目は、やる気が不足しているケースだ。こちらは少々厄介だ。そもそもやる気がないのだから、外部の力では如何ともしがたい。しかし、そもそも彼ら・彼女らは何故やる気を失ってしまったのだろうか。やる気のない情シスを生み出さないためには、以前も書いたように、情シスをルーティン業務から外し、業務をプロジェクトベースで出来る仕組みをつくり、彼ら・彼女らがもっと自発的に動くことができる仕組み作りが必要だ。

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