4月7日の日経平均は前日比34円高の1万6085円だった。1ドル109円を割れ、一時108.78円まで円高が進んだのを受けて、下落する場面もあったが、円高の影響を受けにくい内需株に買いが入り、小反発で引けた。
ただし、その後、さらに円高が進んでいる。7日の日本時間22時35分には1ドル107.92円まで円高が進んだ。8日の日本時間午前7時には、1ドル108.26円となっている。7日のCME日経平均先物(6月限)は1万5445円に下がった。4月8日の日経平均も大きく下がりそうだ。
ここまで円高が進んできた背景の説明と今後の為替の動きについての楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
為替ディーラーの間で日銀の為替介入が話題に
米FRBが利上げを見送った3月15日から円高トライが始まった。FOMCメンバーによる年内の利上げ回数予測が4回(1%)から2回(0.5%)に下がったことが材料視され、為替ディーラーは当分米利上げは難しいと踏んで、円の上値を試す動きに出た。円ロング(買いポジション)を膨らませ、円高で稼ごうと虎視眈々と狙い始めた。
ドル円為替レートの動き:1月1日~4月7日(日本時間22時35分まで)

そんな円ロング筋が一番気にしていたのが日銀による円売り介入だ。過去、円が急激に上昇した時、しばしば日銀は円売り介入を行ってきた。介入直後に、短期的に1~2円も円安に飛ぶことがあり、円ロング筋に日銀は怖い存在だ。近年、日銀による為替介入はないが、いつまた介入が復活するかビクビクしているところだった。
日銀が為替介入しないことを確認しつつ、円買い圧力を強めた投機筋
ただし、日銀が今、露骨に為替介入しにくい状態にあることを円ロング筋は見透かしてもいた。2月のG20で日本を名指しすることはなかったが、「通貨安競争は望ましくない」と暗に日本や欧州の通貨安政策を批判する議論が展開された。
米国は公式に日本の為替政策を批判してはいないが、大統領選の予備選挙で共和党候補のドナルド・トランプ氏が日本を為替操作国として強く非難している。トランプ氏の人気を意識して、民主党の有力候補のクリントン氏も日本の為替操作を批判する発言をし始めている。
そんな中、日銀が円売り介入をやれば、トランプ氏の思うツボだ。「貿易で米国の雇用を奪っている日本を叩く」とさらに発言をエスカレートさせることになるだろう。