Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏は、未だLinuxがデスクトップのメインOSとなる日が来ることを諦めてはいない。
Embedded Linux Conferenceで講演に立ったTorvalds氏は、LinuxがデスクトップPCの主要なOSとなることに対して楽観的な考えを示し、今後25年間その実現に向けて活動したいと述べた。
オンラインニュースサイトCIOが報じたところによると、Torvalds氏は同カンファレンスの基調講演にて「PCの世界でもLinuxがメインOSになってほしい」と語ったという。「ただ、実現するのは非常に難しく、25年間努力を続けたが未だ達成できていない。それでもあと25年がんばって勝つつもりだ」(Torvalds氏)
Torvalds氏は、誰に勝つつもりなのかは明らかにしていない。Microsoftだろうか。それともコンシューマーか、PCのOEMベンダーだろうか。
Linuxは、デスクトップ市場で失敗したわけではない。というのも、Torvalds氏自身失敗と考えていないからだ。
「個人的にはデスクトップ版Linuxに満足しているよ。自分で必要だったからこそこのプロジェクトを開始して、僕個人のニーズはほぼ満たされた。だから僕としては失敗じゃないんだ」(Torvalds氏)
もし世界がひっくり返り、UbuntuやBashシェルがWindows 10に搭載されるという事実も鑑みると、Torvalds氏が自信を見せるのも不思議ではない。また、何億人ものユーザーがAndroidデバイス上で問題なくLinuxカーネルを稼働させている状況からしても、Linuxのコンシューマー市場への道は明るい可能性もある。
Torvalds氏が状況を楽観視している理由はほかにもある。コンシューマーのPC活用法は、過去10年で大きく変化したためだ。重いソフトウェアパッケージをPCに搭載していた時代は過ぎ去り、今では皆PCをインターネットにアクセスするために活用している。
これはLinuxが得意な分野でもある。プロセスを大量に変更させる必要がないためだ。
OEMベンダーがPCの価格競争のプレッシャーにさいなまれる一方で、新しいPCを購入したり自作したりする際に大きなコストを占めるのはWindows OSの価格となっている。OEMベンダーは、過去にユーザーをWindowsからLinuxへと移行させようとして失敗しているが、当時はタイミングが悪かった。当時失敗の元となった多くの要因は、今では変わってきているのだ。
それに、近年の傾向を見ると、Microsoftがテクノロジの世界で占めるシェアが縮小しているのがわかる。遠い昔にLinuxをたたきつぶしていたMicrosoftが、今ではAndroidやiOSに追いやられているのだ。
著者の私自身認めざるを得ないことがある。それは、世の中にはすばらしいLinuxディストリビューションが数多く存在しているということだ。多くのユーザーは、Windows 10と同様にMintやUbuntuを簡単に使いこなすに違いない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。