テクニカルプレビュー版としてリリースされたこの組み合わせを利用することで、Hortonworksがタグベースセキュリティポリシーと呼ぶものの作成が可能になる。Hortonworksのプレスリリースによれば、顧客は「Atlasでメタデータタグの分類と割り当てを行い、Rangerを利用してそれを実施することで、さまざまなアクセスポリシーを実現できる」という。
今回リリースされるもう1つのテクニカルプレビューは、「Apache Spark」でデータサイエンスの作業を行う際に、「ノートブック」スタイルのプロジェクトで可視化ができるブラウザインターフェース「Apache Zeppelin」(インキュベート中)の新規リリースだ(Hortonworksはこれが最後のプレビュー版だと述べている)。
Ambari、Cloudbreak、Metron……
テクニカルプレビュー以外のリリースもある。Hortonworksは、「Apache Ambari」バージョン2.2の一般提供を開始する。AmbariはHadoopクラスタの管理コンソールであり、今回の新バージョンでは、管理作業を楽にしてくれる新しい視覚的ダッシュボード機能が追加されている。
さらに、Hortonworksが1年前にSequenceIQを買収したことで獲得した「Cloudbreak」のバージョン4.2が一般提供される。Cloudbreakは、Hadoopクラスタの展開を容易にし、自動化するためのツールだ。Cloudbreak 4.2では、「レシピ」(Hadoopクラスタとそのノードの仕様を指定する仕組み)、自動スケーリング、OpenStackベースのクラウドへの展開、Microsoftが自社のHadoopディストリビューションでデフォルトで使用しているストレージレイヤ「Azure Blob」の統合をサポートしている。
最後の発表は、サイバーセキュリティと脅威検知技術、およびこれらの問題を扱うための新しいオープンソースプロジェクトである、「Apache Metron」(インキュベート中)に関するものだ。 Hortonworksによれば、Metronはアプリケーションレベル、システムレベル、パケットレベルで動作し、ツールからのフィードを読み込んで調べ、進行中の攻撃を示唆する異常を検出する。
2つのディストリビューション
PivotalがPivotal HDを諦めたことで、主なHadoopディストリビューションの数は、Hortonworks、Cloudera、MapR、IBMの各社が提供する4つに絞られた。MicrosoftのHDInsightはすでにHDPをベースにしており、IBMのディストリビューションはODPi互換になっているため、これらはかなり似ている。MapRは独自の展開を進めているが、同社は特定の顧客と密接に連携して、HDFS互換の「MapR File System」や、HBase互換の「MapR DB」、Kafka互換の「MapR Streams」などの独自のテクノロジを成功させることを優先しているように見える。つまり、MapRは「既製品」のHadoopディストリビューションとは言えなくなっている。
このため、「一般向け」のHadoop市場は、HortonworksとClouderaの二者択一になりつつある。それと同時に、この2つの企業のディストリビューションの違いが大きくなりつつある。