Microsoftは2016年から、「Microsoft Envision」と呼ばれる新しいカンファレンスを立ち上げた。同社はこのカンファレンスを、毎年世界中から、あらゆる業界のトップクラスの役員やビジネスリーダーが集まる場にしたいと考えている。より技術的な内容を扱うカンファレンスである「Build」や「Insight」とは違って、Microsoft Envisionでは、テクノロジの大局的なトレンドや、そのトレンドがビジネス慣習に与える影響などを主なテーマとしている。
基調講演から分科会まで、2016年の同カンファレンス全体を通じて流れていた共通のテーマは、デジタルがもたらすビジネスの変容の概念だった。端的に言えば、これはビッグデータやモノのインターネット(Internet of Things)、アナリティクスなどのテクノロジによって、ビジネスの進め方は劇的に変化しており、今後も変化し続けるということだ。このカンファレンスでは、これらの変容がどのような形で現れてくるかがテーマだった。

提供:Microsoft News
クラウド、セキュリティ、ガバナンス
筆者が気に入った分科会の1つは、「The Shift to the Cloud: The Opportunities and Challenges Ahead」(クラウドへの移行:チャンスと課題)と題した、企業取引のあり方がどのように変化しているかを議論するセッションだ。このセッションのホストを務めたのは、Microsoftのプレジデント兼最高法務責任者(CLO)であるBrad Smith氏だった。同氏は、クラウドコンピューティングが日常的な企業取引のあり方を変えつつある例を上手に説明してくれた。
特に興味を引かれたのは、Klaus Schwab氏が書いた著書「The Fourth Industrial Revolution」(第4次産業革命)についての同氏の説明だ。この本の考え方は、カンファレンスの基調講演でSatya Nadella氏が説明した概念とうまくかみ合っているように思える。
このセッションによれば、第4次産業革命が進んでいるのは、次の3つの分野だ。
- 物理的:自動運転車、ロボット工学、3Dプリンティング、新素材
- 生物学的:遺伝子診断、遺伝子治療、遺伝子工学
- デジタル:IoT、ブロックチェーン、破壊的ビジネスモデル
ビジネスの世界は変化が早く、ITプロフェッショナルはこの変化についていくことを期待されている。
継続的学習
筆者がYouTubeで見た分科会で示された高次元の概念は、製品の次元を超越している。自分が予想していたよりも多くのことを学んだし、IoTがどんなものになり得るか、何ができるのかを理解し始めた。
たとえば、筆者はこれまで「Cortana」のような音声認識技術については懐疑的だったし、今でもある程度はそうだ。しかしCortanaが、他のアプリケーションとのインタラクションを行うユーザーの代理として使えることが分かると、これまで考えていなかった可能性が明らかになってきた。ボットがユーザーの代理として行動し、ほかのユーザーの代理として行動しているボットと対話して、安全に情報を交換し、代理として取引できれば、あらゆることが変わる。
もちろんこれには、社会のクラウド技術に対する信頼がもっと高まる必要がある。これこそ、ユーザーから開発者、経営者に至るまで、あらゆる人が関与し、これらの新しいテクノロジがどのように働き、どのような困難が待ち受けているかを理解することが重要である理由だ。技術のプロフェッショナルが、数時間かけて技術的なイノベーションについて学び、考えることは、今日のビジネス環境においては実質的に必要不可欠な要件になっていると言える。
クラウド、ビッグデータ、モノのインターネット、アナリティクスは、すべて幅広い概念であり、Microsoftの外にあるものだ。現在や未来のビジネスの進め方はこれらの概念に左右されることになる。これらの概念は、物事の仕組みの新たな構造の一部であり、これに乗り遅れれば取り残されてしまう。Envisionのセッションの動画は、準備を整えるにはよいスタート地点だと言えるだろう。

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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。