パロアルトネットワークスは4月15日、業績や、製品のアップデートに関して発表した。2015年売り上げは前年比で53.7%増の9億2800万ドル。製品は、次世代ファイアウォール向けOSの新版「PAN-OS 7.1」と、脅威に対する防御機能を強化したサブスクリプションサービスの提供を開始するという。
セキュリティ意識の高まりが好調の要因
PaloAlto NetWorksの2015年売り上げは前年比で53.7%増の、9億2800万ドル。顧客数は、エンタープライズを中心に2014年の1万9000から2015年は2万6000に伸びた。

パロアルトネットワークス エヴァンジェリスト兼テクニカルディレクター 乙部 幸一朗氏
日本でもこの1年で従業員が60人から120人程度に拡大している。エヴァンジェリスト兼テクニカルディレクターの乙部 幸一朗氏は、日本での好調の要因として、2015年6月に起きた日本年金機構による125万件という大規模な情報漏えいなど複数の事件により、企業がセキュリティへの意識 を高めたことを挙げる。年末に、経済産業省が「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を提示したことも後押ししている。
パロアルトネットワークスの製品群自体については「エンドポイントとネットワークの両分野で高品質な製品を開発していることが差別化の要因になっており、引き合いも多い」と説明した。
仮想ファイアウォールを強化
PAN-OS 7.1の新版では、ファイアウォール「VM」シリーズでMicrosoft AzureとHyper-Vのサポートを追加し、パブリッククラウドとプライベートクラウドの一貫したセキュリティ対策をコンピューティング環境に関わらず可能にした。さらにAWSでのAmazon Elastic Load Balancing(自動負荷分散機能)に対応し、トラフィック量に応じてスケーリングできるようにした。
また、2年前と比較して送信されるファイルが50倍以上に伸びているという、クラウド型マルウェア分析仮想サンドボックス「WildFire」もアップデートする。WildFireではシグネチャ配信間隔を15分から5分に短縮。さらにWildFire上でMac OS X環境がサンドボックス検査対象となり、Mac OSを標的とした未知のマルウェアからの防御ができるようになったという。「Mac OS X環境で動くランサムウェアが出現し、被害が拡大している」(乙部氏)ことも背景にある。
脅威インテリジェンスサービス「AutoFocus」にPAN-OSのログを統合、全ての攻撃情報に背景を伴った実用情報を追加したほか、次世代ファイアウォール上に使用SaaSアプリや、データ使用状況を把握できるレポート機能を追加。安全にSaaSアプリケーションを活用できるとした。
4月15日から、サポート契約のあるパロアルトネットワークスの顧客には、PAN-OS 7.1が適応される。VM-seriesのMicrosoft AzureとHyper-Vへの対応は4月中に提供、WildFireのMac OS X対応は現在プレビュー版が利用可能とした。
また、SaaSをセキュアに運用するための管理サービス「Aperture 」も2016年中に提供を開始する。同サービスは海外では利用でき、今回のアップデートによりOffice 365に対応した。
製品群のアップデートの背景として、ワークロードやデータの分散化が、物理環境とクラウドコンピューティング環境にまたがって進んでいることで、従来のセキュリティ製品では対応しきれないサイバー攻撃が増えてきている点を挙げている。

ファイアウォール「VM」シリーズでMicrosoft AzureとHyper-Vのサポートを追加