2つのトロイの木馬が結合された「GozNym」が登場--米国の銀行などに被害

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-04-18 10:46

 銀行を狙うトロイの木馬である「Nymaim」と「Gozi ISFB」が結合して、新たなハイブリッドマルウェア「GozNym」が誕生した。GozNymによって、既に銀行から何百万ドルもの大金が盗み出されている。

 IBM X-Forceの研究者によると、強力なトロイの木馬であるNymaimの使用者はそのソースコードにGozi ISFBのソースコードを部分的に追加して再コンパイルし、より高度な「双頭の怪物」ともいえるハイブリッドマルウェアを作り出したという。

 IBM X-Forceによると、GozNymは法人口座に侵入するという総合的な目的の下、既に金融機関に対する攻撃で活発に使用されているという。

 GozNymは現在、米国の24以上の銀行と信用組合、およびEコマースプラットフォームを標的とする攻撃で使用されており、数週間のうちに「何百万ドルもの大金」を盗み出すことに成功している。


GozNymが主に標的とする分野

 カナダの2つの金融機関もこのハイブリッドマルウェアの被害に遭った。

 Gozi ISFBのソースコードは2010年と2015年に一般に流出した。そのとき、より高度なGozi ISFBの改造版が公開されたとのうわさが流れた。しかし、Nymaimのソースコードにアクセスできるとされる唯一のグループは、元々の開発チームだ。したがって、Nymaimを開発したサイバー攻撃者たちはこのリークを利用して、自らのプログラムを改良したのかもしれない。

 「最も可能性の高いシナリオは、Nymaimの開発チームがリークされたGozi ISFBのコードを入手し、それを自分たちのマルウェアに組み込んで、金融詐欺攻撃に利用可能なハイブリッドのトロイの木馬を作り出すことに成功した、というものだ」(IBM)

 IBM X-Forceによると、ソースコードが組み合わされた結果、「2つのコードが互いに相手を利用して、内部操作を実行する」トロイの木馬が生まれたという。

 Nymaimはドロッパー型マルウェアで、通常、エクスプロイトキットを通してシステムに侵入した後、ペイロードを実行して、認証情報やユーザーデータを盗む。ランサムウェアをインストールさせるのに使用されたこともあるNymaimは、暗号化やアンチVM、制御フローの難読化といった高度な手法を用いて、自らの存在を隠す。

 しかし、2015年後半、IBMはNymaiumがGoziのモジュールである「webinjection」DLLを使ってインターネットを通した銀行への攻撃を実行していることに気づいたとしている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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