4月18日週の日経平均は、1週間で1026円上昇して、1万6848円となった。原油先物の上昇をきっかけに世界的にリスク資産を買い戻す流れが出る中、日本株だけ円高を嫌気して下落していたが、4月11日週は、円高一服をきっかけに、外国人投資家から出遅れの日本株を買い戻す動きが出たと考えられる。
ただし、4月18日週の日経平均は反落の可能性がある。ワシントンで4月14日、15日に開催されたG20(財務相・中央銀行総裁会議)の議論がドル安(円高)容認に傾いたことを受け、今後さらに円高が進むリスクに注意が必要だ。
楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏は、反発が続いてきた原油先物が反落するリスクも想定されると話す。
ワシントンG20の議論は、ドル安(円高)容認に傾く
麻生財務大臣が先週、ワシントンG20開催が近づく中で、「必要な措置(急激な円高への対抗策)は、G20の合意内容に沿って行える」と、日銀による為替介入をほのめかす発言をしたことから、先週はじりじりと円安が進んだ。
4月15日には、一時1ドル109.74円をつけた。ところが、G20の議論がドル安(円高)容認に傾いたため、4月15日の海外市場で1ドル108.71円まで円高が進んだ。
ドル円為替レート:2016年1月1日~4月15日

ワシントンG20の声明文で、為替に関する部分は、2月に上海で開催されたG20の声明文とほぼ同じだった。「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済・金融の安定に悪影響を与えうる」という認識のもとで、「通貨の競争的切り下げの回避」すべきとしめくくっている。
2月の上海G20では、日本や欧州を名指しはしなかったが、マイナス金利を導入して通貨安を誘導する動きをけん制する狙いがあると考えられた。
最近、急激な円高が進んでいることを受けて、麻生財務相は「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済・金融の安定に悪影響を与えうる」という上海G20の合意に基づいて、「日銀が円売り介入をしても正当化される」と考えた。
ところが、ルー米財務長官がG20後の記者会見で、「最近は円高が進んだが、為替市場の動きは秩序的だ」と、日本の為替介入をけん制する発言をした。米国がドル安容認の姿勢であることを強調した形だ。これで日銀の為替介入がやりにくくなったと解釈され、円高に反転した。
17日からカタールのドーハで始まったOPEC・非OPECの主要産油国会議にも要注意
増産凍結で合意できることを事前に織り込んで、原油先物が1バレル40ドル台まで上昇していた。それが、世界的にリスク資産が買い戻される流れを作るのに貢献していた。イランが増産凍結に納得していないことが問題となっている。
イランに一定の増産を認めつつ、合意を達成させようという動きが見えている。無事に合意できても、すぐに原油の供給過剰が解消するわけではないことを考えると、最近、上昇が続いてきた原油先物には反落のリスクがあると考えられる。