ビッグデータとスマートデータの違いについて、そしてそれらが業務の問題解決にどう役立つのかについて、Dun&BradstreetのチーフデータサイエンティストであるAnthony Scriffignano氏が解説してくれた。
扱っているビッグデータが本当にビッグデータであるかどうかは、どうすれば分かるのだろうか?
この疑問は取るに足らないもののように思えるかもしれないが、実際には極めて重要だ。というのも、異なる問題を解決するためには、それに合った種類のデータが必要となるためだ。つまり、データを活用しようとする企業が実りある結果を得たいと考えるのであれば、適切な方法でデータを用いなければならないというわけだ。
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Scriffignano氏はCXOTalkとの最近のインタビューで、ビッグデータとスマートデータの違いについて説明するとともに、企業はデータを用いた問題解決をどのように進めていくべきかについて語った。
ビッグデータはしばしば5つのV、すなわちVolume(データ量)、Velocity(速度)、Veracity(正確さ)、Variety(種類)、Value(価値)という観点で語られる。そしてこれら5つのVのうち、どれかの統制が取れなくなってしまうと、ビッグデータの問題に直面することになる。
その一方で、スマートデータはもう少し微妙なニュアンスを持っている。
Scriffignano氏は「スマートデータは、自社の問題に実際に適用できる、ビッグデータの部分集合であり、ソリューションの実現に向けてインテリジェントなかたちで使えるものだ」と述べている。
とは言うものの、同氏の考えでは直接ソリューションに結びつく必要はないのだという。あなたや会社が抱えている大きな問題を、変数の削減によってより小さな問題へと分割する、あるいは問題について問いかける必要のある疑問を浮き彫りにするといったかたちで十分役に立てられるはずなのだ。
では、ビッグデータに向けた旅をどのように開始するべきなのだろうか?まずは、解決しようとしている問題を出発点とするべきだ。
Scriffignano氏は「データを出発点にするのではなく、またテクノロジを出発点にするのでもない」と述べたうえで、「問題を出発点にするべきなのだ」と述べている。
問題を出発点にすることで、ビッグデータ戦略に集中し続けられるようになる。その一方で、新しさに目を奪われてビッグデータや分析ツールを使うというのは、時間の無駄や、投資効率の悪さにつながるおそれがある。
また、疑似科学に陥る可能性もある。自らの信念を裏付けるためにデータを利用しようとしたり、真実であってほしいと思うことを証明するための戦略を練り上げようとすれば、科学的な手法の入り込む余地がなくなったり、適切なかたちでの仮説検証が行えなくなってしまう。データ科学から科学を取り去るような行動を取るべきではない。
とはいえ、データを用いた問題解決において、どういった問題に目を向けるべきなのかという疑問は残っている。Scriffignano氏によると、「目を向けるべき問題」と、「解決するべき問題」はまったく異なっているが、その疑問に答えるうえで指針となる原則があるという。
基本的に、問題は次の2つのカテゴリのいずれかに属している。1つは完全なる機会であり、もう1つは完全なるリスクだ。Dun&Bradstreetでは、企業は他の企業にとっての潜在的なパートナーであるとして分析を実施する。このため、リスクというものはある企業が現在の業務にとどまる、あるいは自社の顧客のビジネス目標を脅かすかのいずれかになる。一方、機会の問題は、対象となる企業の規模がどれだけ大きいのか、あるいは既存顧客をどれだけ補完できるのかというものになる。
これらの点を突き詰めると、単にクールな、あるいはユニークな問題の解決に目を向けるのではなく、企業収益に影響を与える問題や、企業に価値をもたらす問題に集中してほしいということになる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。