細分化する消費スタイル
アビームコンサルティングも同様に、デジタル化支援の取り組みを強化中だ。花王出身のビジネスユニット デジタルマーケティングセクター、デジタルトランスフォーメーション担当ディレクターを務める本間充氏は、「従来のマーケティングは“どう売るか”という視点しかなかった」と指摘する。日本では商品開発や研究部門の質が高いため、「文句のない製品を開発してしまう」ことも、実はその背景にあるという。
アビームコンサルティングの本間氏
だが、デジタル化の波を受け、「ライフステージなどによる個人商品行動のシンクロ率が下がってきている」と本間氏。
「昔、サザエさんでは日曜日に家族みんなでデパートで買い物をするという共通した印象の感覚があったが、現在は個人の消費スタイルが多様化しており、十人十色どころか、一人十色」(本間氏)。
一方で、レコードやCDが売れなくなっているかと思えば、コンサートやライブによる収益力が高まってきているなど、リアルの強さを再確認する動きもあり、一筋縄ではいかない。
「ますます複雑化する消費環境の分析にはITが不可欠。だが、マーケティング担当者の多くはIT活用が得意ではない」(同氏)
その意味で、マーケティングを統括する最高マーケティング責任者(CMO)と最高情報責任者(CIO)が協力し、緻密な分析を基に経営戦略を練る必要がある。アビームは1月、企業のマーケティング部門のデジタル化を総合的に支援するサービス「マーケティングBPRソリューション」の提供を開始し、このニーズの受け止めに動いている。
次々と登場する新たな技術は、既存のビジネスの仕組みを徐々に変えていく。特にデジタル化の影響は強い。