「Oracleから脱却したい。顧客もパートナも共通してそう言う」。日本マイクロソフトは4月20日、Oracle DatabaseからSQL Server 2016への移行を支援する2つの取り組みについて説明した。1つは無償に近い形で利用できるライセンス割引、もう1つは国内SIベンダー9社による移行支援メニューだ。いずれも2016年4月から提供する。

日本マイクロソフト、クラウド&エンタープライズビジネス本部クラウド&サーバー製品マーケティング部部長の斎藤泰行氏
SQL Serverのライセンスは、「販売パートナによるが、100%に近い割引になる」(日本マイクロソフトでクラウド&エンタープライズビジネス本部クラウド&サーバー製品マーケティング部部長を務める斎藤泰行氏)。CPUが50コアのデータベースの場合、約5000万円の費用が浮く。これによって移行費用を捻出する狙いだ。
ほぼ無償で利用するための条件は3つある。(1)オープンソース以外の商用データベースから移行すること、(2)移行することを約束する契約書を交わすこと、(3)データベースのシステム規模が50コア以上の移行プロジェクトであること、だ。さらに、SCE(Server and Cloud Enrollment)と呼ぶ包括的なライセンス契約が必要になる。

商用DBから移行する場合、ほぼ無償の特別価格で提供する
近年のOracle DBの値上げで代替案が求められている
背景には、Oracle Databaseの購入費や維持費が上がっているという状況がある。「2011年11月からは保守料が毎年上がるようになり、2015年9月には製品価格が約10%上がり、2016年2月には安価なStandard Edition Oneの販売を終了した。いよいよOracle Databaseの代替案を探さなくてはならなくなった」(斎藤氏)
ただし、ライセンスが安くなっても「ライセンス費用の差額よりも移行費用が大きかったら移行する意味がないと考えるユーザーが多い」(斎藤氏)。こうした背景から、移行費用を十分に負担できる施策として、ほぼ無償となる大幅な値下げと、SIベンダーによる体系化された移行サービスを用意した。
移行支援サービスは、SIベンダー9社から提供する。「Oracle Databaseに強いSIベンダーに声をかけて、SQL Serverへの移行支援メニューを用意してもらった」(斎藤氏)。具体的には、アクセンチュア、SCSK、デル、NEC、日本ヒューレット・パッカード、日本ビジネスシステムズ、日本ユニシス、富士通だ。
移行サービスの料金は案件ごとに様々だが、「データベースエンジンの移行や、PL/SQLで書いたストアドプロシージャの移行は、移行自動化ツールがあるので負荷が軽い。その上に乗るアプリケーションの移行負荷は、案件ごとに異なる」(斎藤氏)
移行支援サービスはライセンス無償化の前提ではないが、日本マイクロソフトとしては何らかの移行支援サービスの利用を推奨している。特別価格のライセンスは型番を持たないため、移行支援サービスを利用せずにライセンスを購入する場合は、日本マイクロソフトの営業担当を通じて購入する必要がある。