「世界景気敏感株」と見なされている日本株に外国人の買い戻しが続く
日本株の特色は、自動車や電機など製造業の比率が高く、外需に依存する構造になっていることだ。そのため、外国人投資家から見て日本株は「世界景気敏感株」だ。
彼らは、世界経済に不安が生じると、まず日本株を売らなければならないと考えている。逆に、世界景気の回復が見込まれる時には、日本株の組み入れを引き上げる。
今、GDP規模で世界第1位と第2位である米国と中国の景気に回復の兆しが出ていることから外国人が「世界景気敏感株」の日本株を買い戻し始めていると考えられる。
日本株は、外国人が荒い売買をするため、ボラティリティ(変動性)が大きい市場となっている。
日経平均とNYダウの動き比較:2013年1月~2016年4月(22日まで)

(注:2012年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)
上のグラフでアベノミクスがスタートしてからの3年4カ月のNYダウと日経平均を比較している。この間に4回、急落局面がある。この4回の急落局面には、以下の共通点がある。
- 世界経済に不安が発生
- 「世界景気敏感株」日本株に外国人が大量売り
- 「安全通貨」円が買われ、円高進行
- 円高による業績不安で外国人がさらに日本株を売却
- 日本株の下落率が世界各国の株の下落率よりも大きくなる
一方、世界景気への不安が低下する局面では、上記の(1)~(5)が逆になる。日本株は外国人の買いによって上昇率が高くなる。米景気堅調・中国景気持ち直しで今、世界景気への不安がやや後退している。この環境が続くならば今後、日経平均がNYダウを上回るパフォーマンスになる。
日銀の追加緩和にも期待が高まっている
日銀金融政策決定会合(4月27~28日)で日銀が追加緩和に動くとの期待がある。これまで、日銀は市場の期待がなくなった時に追加緩和を実施し、ある時は実施していない。したがって、緩和の有無を予測することは困難だ。
仮に緩和が実施されるとしたら、どのような内容になるだろうか? マイナス金利のマイナス幅を単純に拡大するという内容にはならないと考えられている。マイナス金利の弊害がいろいろなところに広がっている問題を日銀も意識していると考えられるからだ。
今、金融機関にダメージを与える追加緩和ではなく、金融機関にもメリットを与える追加緩和が検討されている。前回は、日銀の当座預金を増やした銀行にマイナス金利というペナルティ(罰)を課す内容だったために銀行株が売られた。次に実施される追加緩和では、貸し出しを増やした銀行に日銀がマイナス金利で融資をするというようなインセンティブ付与型の緩和になる可能性がある。
銀行株が買い戻され始めているが、銀行にダメージを及ぼさない追加緩和が議論されるようになっているので、追加緩和の有無にかかわらず、銀行株買い戻しのトレンドは継続すると予想される。
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