パーソナライズがあらゆるビジネスを変える“個人の時代”が押し寄せる――米Oracleのメッセージだ。モバイル端末とインターネットにより顧客はいつでもどこでも、が当たり前になった。
それが“自分に合わせたサービスを”という期待につながっているという。低成長時代、パーソナライズサービスは売り上げアップのチャンスだとOracleは主張する。
OracleのGlobal Business Unitトップを務めるBob Weiler氏
Oracleが4月12日と13日、フロリダ州オーランドで開催した業界に特化したイベント「Oracle Industry Connect 2016」のテーマは「個の時代」。OracleはGlobal Business Unit(GBU)の下で、ヘルスサイエンス、金融サービス、公益事業、小売りなど8種類の業界特化型ソリューションを提供している。GBUのトップを務めるBob Weiler氏は基調講演で、業界別アプリケーション分野の市場トレンドについて語った。
Weiler氏はまず個の時代と呼ぶ市場のトレンドについて話した。モバイルと無線通信を土台に、決済サービスやさまざまな機能を手にした消費者は、自分の好みを知ってほしい、メリットを得たい、エンゲージしてほしい、と思っている。
デジタルと物理世界が融合し、ログインし直したり、物理的なロイヤルティーカードを提示したりしなければメリットが受けられないという状況への許容度は低くなっている。Oracleの調査では、84%のCレベルの経営陣が、体験のパーソナライズ化を顧客が求めていることを理解していることが分かった。
消費者だけではない。従業員も同じだ。「Cレベル」の70%が従業員にもパーソナライズへのトレンドを感じると述べている。
どこにいてもすぐに送金できるようにしたい(金融)、スタジアムで席に座ったままモバイルアプリで食べ物を注文したい(レストラン)と、パーソナライズはすべての業界が関係する。規制の厳しいヘルスケアですら、自分の遺伝子に基づいたパーソナライズされた治療をというニーズがある。
「パーソナライズされたサービスを提供すると、平均して18%売り上げが上がると回答している」とWeiler氏。従業員についてもパーソナライズを可能にするツールや機能を提供すると従業員の満足度が94%アップすることが分かった。
満足した従業員がすぐれたパーソナライズサービスを顧客に提供し、売り上げが増えるーーといったように、パーソナライズは明確なビジネスチャンスをもたらす。
「パーソナライズされたサービスを提供しなければ、顧客の需要を満たすチャンスを逃す。これは長期的には成功から遠ざける」とWeiler氏は続けた。