われわれの生活の中でスマートフォンが生活の一部として浸透し始めている。スマートフォンを利用する人口が増え、メールなどのコミュニケーションツール、TwitterやFacebook、LINEなどのソーシャルメディア、YouTubeなどの動画サイト、さらにスマートフォンに特化したゲームがユーザーの利用時間を奪い合っている状況と言えよう。
読書やテレビの視聴などが相対的に減っている状況で、スマートフォンゲームの業界だけでなく小売りやメディア、金融機関などネット以外のリアルなビジネスを展開している企業においても「いかにエンドユーザーにアプリを使わせるか?」がモバイル戦略の主幹になりつつある。
App Annieの日本法人、App Annie Japan株式会社の日本・韓国担当リージョナルディレクター滝澤琢人氏
そんな中、パルコや無印良品、東急ハンズなどがウェブやスマートフォンを複合的に活用したネットとリアルの小売りの現場をミックスした取り組みを始めている。オムニチャネル、O2Oなどのキーワードで語られることが多いネットとスマートフォンを絡めたユーザー獲得、売上増大のための施策だが、思ったほどには活用が広がっていないのが現状だろう。
今回はスマートフォンアプリの市場データと分析ツールを提供する米国のベンチャー企業、App Annieの日本法人、App Annie Japan株式会社の日本・韓国担当リージョナルディレクター滝澤琢人氏、ビジネス開発担当向井俊介氏にゲームパブリッシャー以外のスマートフォンアプリの活用の状況などについて話を聞いた。
--App Annieのビジネスについてまず概略を教えてください。
滝澤氏 われわれは2010年に創業したグローバルにスマートフォンのアプリについての市場データと分析を提供する会社です。これまでに約100万本のアプリにおいてパブリッシャーからApp Annieにデータを提供頂いています。またスマートフォンアプリを開発しているトップ100社のうち、90%の企業はApp Annieを採用して頂いているという状況です。
スマートフォンアプリの場合、ユーザーがそのアプリで何をしているのかを分析するツールは数多くあり、ゲームパブリッシャーの場合は既にさまざまなツールを使って分析しています。しかし、それらのツールはアプリの中だけの分析、われわれは内部分析と呼んでいますが、そういうツールなんですね。でもそのツールだと誰が何をしたかはよく分かるんですが、競合のアプリがどのように使われているのかという競合との比較には使えないのです。
それに対してApp Annieの分析ツールは外部分析、つまり自社のアプリを客観的に他社と比較できるツールです。さらにアプリ市場に関するデータを提供しています。
--アプリストアのランキングを出すツールという認識でしたが、内部分析をやっていないとするとより詳しい分析はできないんですか?
滝澤氏 いえ、それだけではなくてグローバルに約100万人のパネルのユーザーがいます。このパネルのユーザーにはスマートフォンの使われ方をモニターするアプリケーションを入れて常にどういうアプリを使っているのか、一緒に使われているアプリは何なのか?などを詳細にデータ収集しています。ですので、ユーザーの性別や年齢、暮らしている国などを元に詳細な分析が可能です。