次に登壇したのはAT&Tだ。AT&TはAT&T Integrated Cloud(AIC)という名称でパブリッククラウドをOpenStackで構築し、既に複数のデータセンターで稼働していることを紹介。ここではOpenStackのコアプロジェクトとビッグテントに属するプロジェクトのうち合計10プロジェクトを実際に採用していることを解説した。
ここでFuelというもともと米Mirantis(OpenStack商用ディストリビューション「Mirantis OpenStack」などを提供している企業)が主に開発していたOpenStackのライフサイクルマネージメントのためのツールがAT&Tの必須のコンポーネントとして紹介された。このことから、「AT&TはMirantisと一緒にクラウドインフラを構築したんだな」ということがわかる事例紹介となった。
さらにその後に登壇したVolkswagenは説明の中に実際にMirantisの名前を出すことで、明らかにVolkswagenがMirantisと一緒にプロジェクトを実施して成功したということがキーノートの会場を埋める数千人の参加者に見せつけた格好となった。
その後に登場したRed Hatが明らかにボルテージの低いプレゼンテーションとなったことからも判るように欧米でのMirantisの勢いとRed Hatの低調さが明暗はっきりとわかるような一幕であった。
次にSAPが登壇。これまでプロプライエタリソフトウェアの代表格とみなされてきた企業だけにオープンソースソフトウェアを活用し、コミュニティーを大事にするとの意見表明はOpenStackがエンタープライズ向けのプラットフォームとして認められていることを表していると思っていいだろう。
AT&TもSAPもPaaSレイヤではCloud Foundryを使っていることが示され、Cloud FoundryがPaaS市場でトップを走っているさまを見せつけられた格好となった。DockerとKubernatesをフルに採用したRed HatのOpenShiftの影の薄さが暗に示されるプレゼンテーションとなった。
初日のキーノートのハイライトは、恒例となったコントリビューターに感謝を現すためにOpenStackの新版「Mitaka」リリースのコントリビューターに起立を求めることをサラリとこなした後に実施されたOpenStackのユーザー企業をスーパーユーザーとして表彰するスーパーユーザーアワードだ。
ここで2015年の東京サミットの際にスーパーユーザーとして表彰されたNTTグループから水野伸太郎氏と市川俊一氏が登壇。それぞれ英語でノミネートされた企業を紹介し、最終的にはAT&Tがオースチンサミットでのスーパーユーザーアワードを獲得した。ここでもAT&TのOpenStackデプロイメントの規模の大きさと実装までの時間が短いことが評価されたようで、初日のキーノートの影の勝者はMirantisだったと言っても過言ではないだろう。
スーパーユーザーアワードを発表するNTT ソフトウエアイノベーションセンタ 市川俊一氏と日本電信電話 水野伸太郎氏(右)
最後に再度Bryce氏が登壇し、2017年のサミットについて5月8日の週にボストン、11月6日の週に初めてオーストラリアのシドニーで開催されることが発表された。
カンファレンスは4月29日金曜日まで続く。引き続いて2日目のキーノートの様子をお届けする予定だ。