IoTに慎重、ベンダーとユーザー間に温度差--ガートナー調査

NO BUDGET

2016-05-01 08:00

 ガートナー ジャパンは4月26日、日本企業のモノのインターネット(IoT)への取り組みに関する調査結果を発表した。IoTへの取り組みについて企業に聞いたところ「IoTの専門部署やグループができた」割合が10.1%と、具体的な推進体制を整備できている企業は全体の1割程度にとどまることが分かった。2015年の調査時に「1年以内に体制を確立する予定」としていた大半の企業において、実現には至らなかった。


IoTの推進体制を確立させている企業の割合の変化

 調査ではIoTに対する意識も調べており、「社内の変革を推進する」「ITがよりビジネスに貢献できる」など、成果への期待に対する回答の割合が50%を超えた一方で、「いまだにどこから手を付けてよいか分からない」とする回答も4割近くあった。期待と現実的なアクションへの落とし込みに対する難しさが入り混じる現状が明らかになった。


IoTに対する期待や不安

 今回の結果について、同社リサーチ部門リサーチディレクターの池田武史氏は、以下のようにコメントしている。

 「IoT推進体制の確立に関しては、2015年の調査結果である8.5%と比較して増加はしているものの、2015年の時点で1年以内に体制を確立する予定と回答した16.7%の大半の企業がそれを見送った状況と言えます。IoTに期待する企業の割合は2015年とほぼ変わらないとみていますが、取り組みを推進するきっかけや明確な目標をまだとらえきれていません。2015年は海外ベンダーだけではなく、国内の大手システムインテグレーターやサービスプロバイダーなどがIoTの推進体制を確立し、それぞれのビジネスの機会を狙い始めましたが、企業の慎重な態度が今後も続くようなことになれば、その成果が得られる時期については見直しを迫られるリスクがあります」

 さらに次のように続けている。「IoTに関しては、既に積極的に取り組んでいる企業もありますが、まだ一部に限られています。これは、IoTを実現するさまざまなテクノロジがまだ未成熟であり、また、ビジネスにかかわるさまざまな制度やルール、慣習を変えていくことも必要とするケースもあることなどが背景にあります。そのために企業は具体的な行動に移すことが難しく、足踏みする状況が継続しています。このような状況においては、他社の成功事例を参考にしてそれを追いかけようとする態度によって、先行者からの明確な成果が出るまで何も手を付けられなくなる、というリスクに直面します。IoTはこれから先数年にわたる技術革新によってその効果が期待できるデジタルビジネスの中核的な領域であることを再認識し、他社の成果を待つのではなく、自ら起こすべきチャレンジであると理解することが重要です。まずは小さな仮説検証、概念実証を素早く行うこと、そして試行錯誤を続ける覚悟と体制が必要です。その意味でIoTは、現場からのボトムアップに期待するだけではなく、経営者自らがビジネスインパクトを研究/リードすべき重要なテーマです」

 調査は日本におけるさまざまなITのニーズや課題を分析することを目的としたもので、日本全国の従業員数500人以上の企業における、ITインフラストラクチャ領域において、製品やソリューション、サービスの導入の選定に際し、決裁権がある/関与している、もしくはITインフラストラクチャの戦略に関与している役職を想定したアンケートを2015年3月と2016年2月に実施した。有効回答数はいずれも515件。

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