マインドフルネスとは
Googleが社員の能力開発に導入し、高い成果を上げているということで注目を集めている「マインドフルネス」。辞書によるとMindfulnessとは仏教の「正念(しょうねん)」のこととあります。「正念」というのは「雑念を去った安らかな心」を意味するようです。今、話題になっているマインドフルネスは宗教的な要素を含まず、瞑想や自己啓発をベースとした技法のことを指しています。マインドフルネスがこのように整備されてきた過程として、もともと、仏教の僧が瞑想によるマインドフルネスを米国で普及させ、その後、ストレス軽減法、認知療法へと進化してきました。
ウェブで調べたところ、Jon Kabat-Zinn氏が禅の瞑想に感銘を受けてマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を生み出したといいます。認知療法(MBCT)と発展することで、身体の痛みや、うつ病、不安などの心の問題の解消に効果があるとしています。GoogleやIntelといった国際企業ではマインドフルネスをリーダーシップトレーニングにも応用しているとの報道もあります。マネジメントにまで好影響を与えるマインドフルネス。実際に取り入れることで何が得られるのか、実践している経営者にインタビューをしました。
〝瞑想”で何が実現できるのか
マインドフルネスを調べると、「瞑想」「座禅」「呼吸法」「ヨガ」などが関連づけて出てきます。ここでは、MBSRやMBCTといったマインドフルネス技法にこだわらず、「瞑想」による心身調整法と広く解釈し、紹介します。
話を聞いたのは大阪エンジニアリング代表の中村雄一社長です。中村氏が実践しているのは、坐禅に基づいた瞑想です。
心を落ち着かせ、雑念を払うことでどんな効果が得られるのでしょうか。マネジメントにどう生かしているのでしょうか。

大阪エンジニアリング代表の中村雄一社長
――瞑想を始めてどんな気づきがありましたか。
「心を鎮める」ことで従業員の立場に立つことができ、相手をおもんぱかることができたと感じています。
私利私欲にまみれた雑念があると、決して相手は共感しないものです。瞑想を始めてから、従業員と話をする際には、心をしずめて、静寂の間をつくるようにしています。雑念を払い、利他(他人の福利を願う)の心に沿った思いが心の底から湧き出るまで、心を鎮めます。雑念を取り払った本心を語ると、社員も素直に受け止めてくれると感じます。
また、われわれは坐禅の部屋を用意しています。朝8時から社員も希望者は坐禅をします。
――経営者はいくら心を鎮めてもストレスフルな立場では。
仕事でうまくいかないとき、業績が上がらないときなどは寝付けず、夜中に目が覚めてしまうことがあります。そんなときは、深夜であっても起きて、坐禅の深い呼吸法をします。静かに、深く腹式呼吸をし、いろんな雑念を捨てて、今、呼吸していることに集中するのです。そうすると尾てい骨の下あたりから力が沸いてきて、身体中が温かくなってくると感じます。気を発している状態なのかもしれません。
このときは、「呼吸に専念する。呼吸に専念するだけでいいんだ」と自分に言い聞かせる。血流がよくなっ不安が消えていく気がして朝までぐっすり眠れるのです。