2016年の「IT人材」と採用

ITの内製化に成功した理由--食いっぱぐれないエンジニアを育てる仕組み - (page 2)

竹内真(ビズリーチ)

2016-05-16 07:00

 そこで、事業への貢献度を事業側と開発側の両面から評価し、各エンジニアが生み出す価値の可視化を図っています。評価制度はまだ発展段階にありますが、この枠組みで新たなエンジニアの価値観を育てるのが狙いです。

 また、日本のエンジニアを取り巻く環境は「現場か、管理か」という二者択一しかなく、私はこれにも違和感を持っていました。技術を磨くのと、マネージャーとして組織を束ねるのでは使う筋肉が180度異なります。両立は簡単ではありません。一方が得意だとしても、もう一方を難なくこなせるとは限りません。

 また、誰もが限界までスキルを伸ばし続けられるわけでもない。スペシャリストにも、凄腕のマネージャーにもなれないエンジニアの市場価値は、一定の年齢を過ぎると急低下します。

 事業会社では、課題や目標数字の実現に注力できるエンジニアの働きは有益です。技術的なバックグラウンドを武器に仮説を立て、PDCAサイクルを自ら進んで回せるような人材が望まれるのです。

 その人は技術力を通じて長期にわたり価値を提供できるはずです。そういう人材を育てたいと思っています。自社内の開発チームをつくるだけでなく、最終的には日本のエンジニアの新たな在り方を提案していきたいのです。

エンジニアが心地よく作業ができる環境をつくる

 また、事業の拡大期で、もう一つ取り組んだことがあります。それはオフィスのデザインです。ビズリーチのオフィスは公園や海をイメージした「ガーデン」「ビーチ」といった遊び心のあるフリースペースをつくりました。

 ビズリーチはHR領域に取り組むインターネットカンパニーとして、強いテクノロジチームを作ろうとしていました。しかしながら、人材業界はビジネス職のイメージが強く、エンジニアが主役となって事業を成長させるイメージをもってもらうことが非常に難しかったのです。

 今でこそ”HR Tech”(人材関連テクノロジ)という言葉がありますが、ビズリーチの拡大期ではゲーム会社やIT、ウェブ系の事業会社が大量にエンジニアを採用するなか、私たちの事業をエンジニアに理解してもらうには大変苦労しました。

 そこで私は、多少常軌を逸してでも、われわれのサービスがものづくりやテクノロジを大切にするテックカンパニーであることを伝えるためにこのオフィスのデザインを考えました。

 業界によっては、ここまでオフィスを特徴づける必要はなかったかもしれません。しかし、われわれの条件下においては、エンジニアにまず振り向いてもらう、そのための投資だったのです。


遊び心のあるフリースペース「ビーチ」

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