テキサス州オースチンで開催されたOpenStack Summit 2016の2日目はOpenStack Foundationの最高執行責任者(COO)、Mark Collier氏が登壇したキーノートで始まった。Collier氏のトークのテーマは「Collaborate or Die」(コラボレートか死か)で、これから2020年までにIoTデバイスが500億台、それらのデータをさばくサーバが4億台必要になるというリサーチの結果からOpenStackだけではなくさまざまなソフトウェアと連携しなければ、IoTの世界には生き残れないと語った。

OpenStack FoundationのCOO、Mark Collier氏
さらに直近のユーザーサーベイの結果を紹介し、ユーザーの興味がコンテナ、SDN/NFV、ベアメタルに集まっていることを説明。

ユーザーの興味のトップはコンテナ
つまりOpenStackだけではなくそれ以外のソフトウェア、サービスとの連携こそが重要であることを強調した上で、最初のゲスト、Time Warner Cableをステージに招いた。ここでOpenStack以外に計算資源管理ソフトウェア「Mesos」を使ってベアメタルクラスタを利用していること、少人数のチームでそれを実現していることなどを紹介。
次にLivePersonというチャットサービスをSaaSで提供している企業を紹介した。LivePersonはOpenStackのDiabloリリース(最初のバージョンから4つ目)からの古いユーザーでこれまで利用していたモノリシックな(統制された)アプリケーションを150のマイクロサービスに分解し、それをコンテナの形でOpenStackの上で稼働させているという。利用しているのはDockerとKubernatesで、7カ所のデータセンターで稼働している。今後はベアメタルを検討しており、そのためにベアメタルプロビジョニングのためのコンポーネント「Ironic」を利用する予定であるという。
Collier氏のプレゼンテーションは北米のOpenStackユーザーだけではなくチェコのスマートシティの事例に進み、ピーセクという街でのスマートシティ実証実験を紹介。ここではチェコでの事例だけでなく、実際にオースチンのコンベンションセンターの会議室に室温センサ、湿度センサ、酸素濃度センサを設置してデータフィードをビジュアライズ化させるデモを実施した。
システムの開発を担ったtcp cloudによればデータフィードを受け取るチェコのサーバは、OpenStack、センサデータを送るデバイス側はRaspberry Piであるという。ここでもインフラであるOpenStackは黒子であり、その他のシステムとのコラボレーションが必要であるということを示したといえる。

センサからのデータを可視化するデモを実行