4.戦略的に進められる段階
第4段階では、ほとんどの部門がデジタル変革の取り組みを認識しており、取り組みが組織内でどのように展開されているかを知っている。この段階では、プロセスや計画はより合理的で戦略的なものになってくる。チェンジエージェントはデジタル変革の価値を伝えやすくなり、デジタル変革を唱道する役割として、最高デジタル責任者(CDO)や最高顧客責任者(CCO)などの役職が設けられることも多くなる。
経営者が進歩の状況について知る手段として、データやアナリティクスに関心を持つようになり、その重要性が増す。テクノロジのロードマップとデジタル変革のロードマップが融合し始め、各部門の協力関係はさらに深まる。この段階では、デジタルに対する投資のROIを可視化できるようになり、より詳細に吟味されるようになる。
5.収束する段階
第5段階では、企業はそれまで独立していたデジタル変革のための取り組みを、1つのより合理化されたアプローチへと収束させる。アナリティクスが業務を改善および合理化しはじめ、顧客の体験を向上させるための取り組みが、バックオフィスの改善にも効果を上げる。チェンジエージェントは多くの場合公式なリーダーとなり、経営陣のリーダーシップが、変革を支えるために重要な役割を果たす。デジタル変革を監督するための組織も設置される。
第5段階ではIT部門も変わり始め、ハイブリッドなチームが形成され、パートナーシップの対象が顧客の体験に関わるチームに広げられる。すべての従業員と管理職に組織のデジタル戦略が教育され、顧客体験の重要性が理解される。組織の戦略に存在するギャップを埋めるための、新しい取り組みが生まれる。
6.革新的および適応的になる段階
Solis氏は、第6段階は最終段階ではなく、デジタルによる変革とイノベーションが企業の組織に織り込まれていく過程にすぎないと述べている。オムニチャネルシステムにあらゆる顧客のデータが集められ、組織全体として1カ所で顧客の像を把握できるようになる。デジタル変革を推進するためのグループや役職が作られ始める。
この段階では、デジタル変革自体が「従来通りの事業」になる。すべてではなくてもほとんどの部門が顧客の体験に関与し、教育とトレーニングは連続的に行われるようになる。さらに、人事部門は常に不足している人材を特定し、その穴を埋めるために継続的に人材を獲得し続ける。ITパートナーが、新たなテクノロジのテストを支援し、クラウド技術がビジネスのほぼすべての面で利用される。
3つの要点
- エンタープライズ市場では、デジタル変革がトレンドとして重要性を増しつつある。デジタル変革を進めるには新たなテクノロジへの投資が必要だが、同時に顧客体験の重要性に対する理解も必要とされる。
- Altimeterのレポートによれば、企業はデジタル変革を進めるにつれて、6つの段階を経験する。これらの6つの段階は、各段階における組織内の人々の役割を理解するのに役立つとともに、変革を推進するために使われるツールについても説明している。
- デジタル変革は連続的なプロセスであり、その定義は流動的である。レポートで説明されている最終段階である第6段階は、デジタル変革の発展の最終段階ではない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。