組織で取り組むUI/UX

“教養”がUXを向上させる--アートと顧客体験の関係 - (page 2)

綾塚祐二

2016-05-10 07:00

広く深く見渡すこと

 前述の例のように、何かの課題をITを使ったシステム(に限らず、何らかの仕組み)で解決したい場合にまず考えるべきなのが「UXの視点」である。これは製品や実運用する完成品のシステムに限らず、試作の段階などでも同じである。

 インタラクティブなものを作るときには特に、常にUXを意識するようにしないと、試作の意味合いも薄れてしまう。

 「UXを意識した設計」とはすなわち「ユーザーのことをよく考えて設計する」ということであり、そのためには、広い視野で全体を見渡し、見えない部分も深く考えながら設計することが必要である。

 1つの製品およびサービスの全体を見渡すことはもちろん、組織全体としては、複数の製品やサービスをふまえてUXを意識し見渡す必要がある。第3回で述べたように、見渡してまとめる役割を果たす人、部署ははっきりさせておきたい。

 もちろん、まとめる役割以外の人々も全体を見渡し視点を共有したほうが、開発もスムーズに進むであろうし、完成したときの達成感も増すであろう。組織全体でUXを考慮することで、個々のプロジェクトのメンバーが感じるUXも向上する。

UXを考慮すべきはシステムにとどまらない

 UXを考慮すべきはITシステムに限った話ではないので、上述のようにプロジェクトのメンバーが感じるUXも意識したい。

 また、第4回で何度か触れたが、UI/UXの向上を推進するにあたって、組織内の人々に与えるUXも積極的に考慮したい。UI/UXを扱う部署を作ったときには、そのミッションを明確にしたほうがいいと第2回で述べたが、それはこうした「UI/UXの向上に関わるメタなエクスペリエンス」にも貢献する。

 他にはもちろん、組織外の人との接点となる自社のウェブページや、その他の広報的な部分にもしっかりとUXの視点を持ち込むべきである。

 社内外のユーザーや顧客、情報発信などの対象になる人々、対象となってほしい人々がいるならば、そこにはその人々が受けるUXがあり、それはしっかりと考慮せねばならないのである。

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