OpenStack専業ベンダー Mirantisの謎を解き明かす(後編) - (page 3)

松下康之

2016-05-11 07:00

 最後はCraig Peters氏。HGST、EMC、Yahoo、Stravaなどでプロダクトマネージャーを務めたベテランで、タイトルはDirector of Product Management、製品の企画というよりも開発も含めた製品の責任者だ。


Craig Peters氏(Director of Product Management)

 Kamesh Pemmaraju氏製品のマーケティングとパートナーマーケティングを兼ねているのとは違い、Peters氏は主に製品開発の側の人間である。

 Peters氏によればMirantisがリソースをOpenStackに集中する前は顧客向けのカスタマイズソフトウェアを開発していた時期があり、顧客に向けてモノを開発するということが当たり前のカルチャーだったという。

 それを「OpenStack専業、Pure Play OpenStack」というキャッチコピーとともににブランドイメージを変えたのだ。

 Peters氏の経歴をみてもわかるが、大企業、インターネットのハイパージャイアント、それにインターネットベンチャーまで幅広い経験を持っている。

 その人間をして「カスタマイズソフトを作っていた頃からの社風がなかなか変わらない、未だに変化の過程にいる」と語った点がポイントだ。本来はもっとパッケージソフトウェアベンダーとしてスケールする方向で戦略を考えなければいけないのにまだそこまでは至っていないと正直に説明してくれた。

 これまでのサマリで示した通り、もともとカスタマイズの受託開発をやっていた企業がトレーニングやコンサルティングなどをエリアを一気に製品中心の企業体質に変えていこうとする途中であるということだ。

 今回のサミットにおいてその他の米IT企業の人間にインタビューして感じたのは、多くの人がMirantisを「コンサルティングの会社」と見ていることだろう。そこにトレーニングと認定試験という新しい柱を加えたのだ。OpenStack管理者のOpenStack Foundationが監修した公式認定試験が始まったことも合わせてMirantisが先行しているトレーニングプログラムは日本でもかなりニーズが強くなるのではないだろうか。

 かつてMicrosoftがWindows NTを企業向けに発売することに際してMicrosoft Certified Professional、いわゆるMCPという認定技術者制度を立ち上げた際に最も早くMCPの数が増えたのは日本だった。日本では認定試験は潜在的なニーズのあるサービスだ。それがクラウドインフラとして盛り上がりを見せつつあるOpenStackで始まったことは注目したい。

 日本での課題は山積みだが、当分あのエネルギーとパワーは衰えそうにない。次のバルセロナでの活動が楽しみだ。引き続きMirantisに関しては追いかけて行きたい。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウド基盤

    「情シス不足」が生み出す2大リスク--多忙な情シス部門が手放すべき業務とは?

  2. セキュリティ

    Google Chrome Enterprise が実現するゼロトラスト セキュリティの最新実情

  3. セキュリティ

    あなたの会社は大丈夫?--サイバー攻撃対策として必要な情報セキュリティの早分かりガイドブック

  4. ビジネスアプリケーション

    ITSM徹底解説!ビジネスに関わる全ての方へ--「ITSMクイックスタートガイド」

  5. セキュリティ

    ブラウザの可能性を Google Chrome Enterprise で追究、セキュリティ実現には?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]