最後はCraig Peters氏。HGST、EMC、Yahoo、Stravaなどでプロダクトマネージャーを務めたベテランで、タイトルはDirector of Product Management、製品の企画というよりも開発も含めた製品の責任者だ。

Craig Peters氏(Director of Product Management)
Kamesh Pemmaraju氏製品のマーケティングとパートナーマーケティングを兼ねているのとは違い、Peters氏は主に製品開発の側の人間である。
Peters氏によればMirantisがリソースをOpenStackに集中する前は顧客向けのカスタマイズソフトウェアを開発していた時期があり、顧客に向けてモノを開発するということが当たり前のカルチャーだったという。
それを「OpenStack専業、Pure Play OpenStack」というキャッチコピーとともににブランドイメージを変えたのだ。
Peters氏の経歴をみてもわかるが、大企業、インターネットのハイパージャイアント、それにインターネットベンチャーまで幅広い経験を持っている。
その人間をして「カスタマイズソフトを作っていた頃からの社風がなかなか変わらない、未だに変化の過程にいる」と語った点がポイントだ。本来はもっとパッケージソフトウェアベンダーとしてスケールする方向で戦略を考えなければいけないのにまだそこまでは至っていないと正直に説明してくれた。
これまでのサマリで示した通り、もともとカスタマイズの受託開発をやっていた企業がトレーニングやコンサルティングなどをエリアを一気に製品中心の企業体質に変えていこうとする途中であるということだ。
今回のサミットにおいてその他の米IT企業の人間にインタビューして感じたのは、多くの人がMirantisを「コンサルティングの会社」と見ていることだろう。そこにトレーニングと認定試験という新しい柱を加えたのだ。OpenStack管理者のOpenStack Foundationが監修した公式認定試験が始まったことも合わせてMirantisが先行しているトレーニングプログラムは日本でもかなりニーズが強くなるのではないだろうか。
かつてMicrosoftがWindows NTを企業向けに発売することに際してMicrosoft Certified Professional、いわゆるMCPという認定技術者制度を立ち上げた際に最も早くMCPの数が増えたのは日本だった。日本では認定試験は潜在的なニーズのあるサービスだ。それがクラウドインフラとして盛り上がりを見せつつあるOpenStackで始まったことは注目したい。
日本での課題は山積みだが、当分あのエネルギーとパワーは衰えそうにない。次のバルセロナでの活動が楽しみだ。引き続きMirantisに関しては追いかけて行きたい。