IoTに関わる人材にはビジネスアイデア構想力と技術を俯瞰する力が求められる
IT化によって実現する事業には、既存事業の拡大や変革、新事業や新サービスの創出がある。IoT化によっても同様の変化が起こると考えられるが、ここでは新事業・新サービスに注目し、それらを生み出す人材にはどのような能力が求められるかを尋ねた。
ユーザー企業とネット企業および部門では「ビジネスアイデア構想力」が1位、IT企業では2位だった。また、「技術力」の順位もユーザー企業とネット企業および部門では2位、IT企業が1位と高くなっている。さらに技術力の内容を尋ねると、「事業全体の技術を俯瞰し、全体を設計する能力」がユーザー企業、IT企業、ネット企業および部門いずれでも1位となった。
IoTで新事業・新サービスを生み出す人材に必要なのは、各分野の専門分野とその周辺分野だけでなく、ビジネスアイデアを構想し、事業全体の技術を俯瞰した上で全体を設計する能力であることが、企業によって認識されていると言えるという。
IoT関連技術を活用した事業変革・新事業・新サービスの創出を実施する人材に必要な能力(上)、技術力(下)(IPA提供)
IoT関連事業の実施に必要な人材は、IT企業とユーザー企業は社内人材を重視
IoTに関連する事業の実施に必要な人材について、どのような獲得・確保方法を重視しているのかを尋ねた結果、企業区分によって違う傾向がみられた。IT企業とユーザー企業が新卒を含めた社内人材を重視しているのに対して、ネット企業および部門では中途採用を重視する傾向にある。IoT関連事業が他の企業区分と比較して進展しているネット企業および部門においては、外部人材を重視する傾向にあると言えるとした。
実施または検討中の事業変革・新事業・新サービスに必要な人材の獲得方法【企業区分別】(IPA提供)
日本の企業において、IoT関連事業に関わる人材に必要とされている能力要件、技術力を見ると、EUで提唱されている「鍵となる実用化技術」(Key Enabling Technologies:KETs)が掲げているスキル要件と類似する部分が多い。企業の人材育成においても、国際的な視点を持って進めることが重要であると説明する。IoT時代には、よりグローバルへの流れが加速すると考えられる。世界の一員であることを意識し、多様な視点を持つことが求められるとしている。
IT人材白書はIPAが毎年、IT企業やユーザー企業、大学等教育機関を対象としたIT人材動向調査、およびIT技術者個人を対象とした意識調査を行い、調査結果をまとめて発行している。