コンカー、請求書管理サービスを拡充--月締めに対応、OCRとBPOで入力を効率化 - (page 2)

三浦優子

2016-05-11 12:03

 「アンケートのフリーコメントでは、処理件数が多い紙ベースでの申請、精算処理の業務負担が大きいという声に加えて、複数のシステムを利用しているので処理手順が煩雑、手作業によるところが大きく改善の余地が大きいといった声も上がっている。請求書は保管が必要になるため、その際の社内手続きの課程でのコストもかかるなど生産性改善の必要があるという認識が高い」(三村氏)

 ガバナンスについても、「承認プロセスの遅れにより費用計上のズレが生じている」が52%。「各部門の管理職は社内規定のチェックポイントとして機能しているか」という問いに対しては「機能していない」が49%となっている。

請求書処理業務での典型的な課題(コンカー提供)
請求書処理業務での典型的な課題(コンカー提供)

 これは、「(直接費である)資材取引ではないため、各部門が直接交渉、取引していることでの不正リスク」「部門ごとの発注はチェック機能がかなり甘い」「請求書処理は各部門の判断に任せているため、経理部門は正しく処理されたかの後処理的な関わりしか持っていない」など、リスク管理に不安を持つことが多いことが起因している。

 請求書データの可視化についても、「申請承認状況をリアルタイムに把握できている」という企業は51%。「請求書支払いに関する統計分析が十分に行われている」という企業は22%にとどまる。

 コンカーではこうした問題点に対し、標準的に提供しているOCR機能、フィリピンのBPOを利用することで、請求書のデータ化を手入力から脱却して生産性を向上させることを提案。このデータを活用して、仕組みによる自動チェックでガバナンスの向上、データ発生源から分析してデータを可視化して分析を強化できるとアピールする。

インフォマート 取締役 経営企画本部長 中島健氏
インフォマート 取締役 経営企画本部長 中島健氏
クラビスタ 代表取締役社長 菅藤達也氏
クラビスタ 代表取締役社長 菅藤達也氏
Taxback International カントリーマネージャー 淵上暁氏
Taxback International カントリーマネージャー 淵上暁氏
JP Morgan Chase エグゼクティブディレクター Chris Vessey氏
JP Morgan Chase エグゼクティブディレクター Chris Vessey氏

 請求書のデジタル化については、「OCRによるデータ読み込みは、クラウド内に埋め込まれたOCR活用エンジンで実現する。これはクラウドの利用料金内で利用できる機能で、コストはかからない。ただし、精度は低くなる部分があるので、低コストで人力で入力するマニラBPOセンターで、日本語対応ができるスタッフを用意した」(三村氏)と、OCRとBPOの2つの方法を提供する。

 マニラのBPOセンターは、これまで英語でのアウトソーシング作業を行っていた。スタッフは800人いるが、日本語スタッフは当初は5人、年内に15人まで拡充する予定で「需要があれば、随時増員する」計画だ。

 パートナー経由での請求書のデータ化も進める予定で、複合機ベンダー、スキャナーベンダーとの協業、マニラだけでなくベトナムのBPOセンター、国内のBPO事業者との連携についても現在準備を進めている。

 「外部パートナーにAPIを提供することで、外部サービスとシームレスに連動できる。当社のサービスはプラットフォームとして提供していることから実現する」(三村氏)

 会見にはパートナー企業として、インフォマート、クラビス、Taxback Internationalが登壇。インフォマートは企業間取引の請求書プラットフォームを提供していることから、「コンカーとの提携で請求書の発行から企業側の管理に至るまでの作業が一気通貫でできるようになり、大きなシナジー効果が生まれるのではないかと期待する」(インフォマート 取締役 経営企画本部長 中島健氏)と話した。

 クラビスは手書き領収書を撮影し、データ化するサービス「STREAMED」を提供し、「昨年からExpenseに対応し、営業部門で利用され好評を得ている。経理部門でも使いたいという声が多かったことから、今回の提携となった」(クラビス 代表取締役社長 菅藤達也氏)と実績があったと説明した。

 税務コンサルティングを提供するTaxback Internationalのカントリーマネージャーである淵上暁氏は、「われわれは日本企業が海外で支払った付加価値税を適切な期間内に申請することで還付するVAT還付の手間を軽減するテクノロジを提供しているが、コンカーとの連携で上場企業であれば数千万円のコストを削減できる」とアピールした。

 ユーザー代表として50カ国24万人の組織でInvoiceを利用しているJP Morgan ChaseのエグゼクティブディレクターChris Vessey氏も登場した。「導入前はファクスを主要の情報共有手段としていたが、グローバルでInvoiceを導入することで、ファクスをはじめメール、モバイルで領収書、請求書を完全に画像化した」と現況を解説した。

 「バラバラだった取引先の登録プロセスを取引先ポータルを使って一元化する作業を同時に進め、コスト削減、請求書、領主書などの処理時間の短縮化、ベンダー承認までの業務を統合し、効率化を実現した。Invoiceは直感的な操作で作業できるので導入後の講習が不要で、即利用できるようになることも大きなメリット」(Vessey氏)


データの発生源を可視化して間接費を分析できるようになる(コンカー提供)

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