日本オラクルは5月10日、東京・品川の品川プリンスホテル アネックスタワーでイベント「Oracle Database Connect 2016」を開催した。「Oracle Database」のエンジニアを対象にデータベース運用のためのテクニックなどに関するノウハウを紹介するイベントで、今回が初めての開催。オラクル製品のユーザー会である「Japan Oracle User Group」との共催となった。
挨拶に立った日本オラクルの代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の杉原博茂氏は、「Oracleは設立から37年、日本オラクルは設立から31年を経過し、その間にデータベース市場は1200倍になった。現在、Oracle Databaseはクラウドに対応したマルチテナントアーキテクチャによる第4世代を迎えている。日本ではデータベース市場で49%のシェアを持ち、2000社のパートナーと25万人のOracle Masterの取得者がいる。1府13省庁のすべてに入り、20の政令指定都市、47都道府県にも導入。東証一部上場企業の99%の企業に導入されている」と現況を解説した。
日本オラクル 取締役 代表執行役社長兼CEO 杉原博茂氏
日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括執行役員 副社長 石積尚幸氏
「これからは、ハードとソフトの区別がない無分別値の世界に入り、Oracleは、ハードとソフトが融合することで何ができるのかということに取り組んでいくことになる。Oracleはチップからサーバ、ストレージ、アプリまでのすべてを開発しているモノづくりの会社である。創業者であるLarry Ellisonが昨年のOracle OpenWorldで“Six Design Goals”を打ち出しており、コスト、信頼性、性能、業界標準、互換性、セキュリティの6つに取り組んでいる。Oracleのクラウドは、オンプレミスで実績を持ち、それを提供してきた企業が提供しているサービスであるという点が他社のクラウドサービスと異なる」(杉原氏)
続いて登壇したクラウド・テクノロジー事業統括執行役員で副社長の石積尚幸氏は、「Oracle Databaseはリリースから37年を経過したが、技術進化はこれで終わりではない。これからも進化する。機能性、可用性、セキュリティなどで最も優れたものを提供しているのがOracle Databaseである。Oracle Databaseは、エンジニアの技術が高まるほど真価を発揮する製品である。これらからもエンジニアに向けて情報を発信していく」と述べた。
クラウドとオンプレミスが同一アーキテクチャ
基調講演には、「Oracle Databaseの今までの歩みと今後の進化」とテーマに、米本社システムテクノロジ担当シニアバイスプレジデントのJuan Loaiza氏が登壇した。同氏は1988年にOracle Database部門に入り、Oracle Database 6以降のすべてのデータベース製品のリリースに携わってきた。
Loaiza氏は、「Oracle Databaseは、2位以下に倍以上の差をつけたシェアを持っている。その理由は、主要な機能をいち早く導入し、その取り組みを継続してきたことにある。技術はどんどん進化しており、留まることを知らない。それは今までにないほどエキサイティングになっている」と切り出した。
同氏は、「スケーラビリティ」「アベイラビリティ」「アナリティクス」「セキュリティ」「デベロッパー」「マネジメント」「インテグレーション」という7つの観点から技術進化への取り組みや製品の特徴などを紹介した。
スケーラビリティという観点では、最初にOracle Database専用機「Oracle Exadata」を取り上げた。「2008年に登場して以降、数千ものミッションクリティカルな環境で利用されており、複雑なビジネスアプリケーションを動作させることができ、大規模なデータベース統合も可能にする。データベースに理想的なハードウェアである」と語った。
先頃発表したExadata X6-2についても紹介。「高速な22コアのXeonプロセッサを採用し、統合された高速なInfiniBandによる内部ネットワークを実現。1ラックで1.3Pバイトのディスクと360Tバイトのフラッシュストレージを搭載でき、これを指数関数的に増やしていくことができる。また、数々の優れたソフトウェアを搭載しているのも見逃せない特徴のひとつである。パフォーマンスは、競合よりもちょっといいというレベルのものではない。遙かに優れたパフォーマンスを発揮することができる。そして、これらの技術はこれからも進化する」
スケーラビリティに関連してOracle Databaseのオプションとして提供される「Oracle Database In-Memory」については、「デュアルフォーマットアーキテクチャを採用し、同じテーブルで行と列のフォーマットを同時に行い、常に同期し、トランザクションの一貫性を担保。OLTP(オンライントランザクション処理)では行フォーマットを利用し、アナリティクスなどではインメモリ列フォーマットを利用することになる」と説明した。
「今後は、Active Data Guard Standbyにオフロードするリアルタイムアナリティクス、3倍高速化したJoin、10倍高速化したExpression、60倍高速化したJSONによるパフォーマンスの向上、In-Memory on Exadata Flashによる容易な実装を実現していくことになる。出荷初年度におけるデータベースオプションとしてはIn-Memoryが最も速い導入実績を達成している」
昨年発表したRISCプロセッサ「SPARC M7」については、「革命的な性能を提供しているチップであり、Software in SiliconとしてDatabase In-Memory Accelerationエンジン、Security in Silicon、Capacity in Siliconの3つを提供している。SPARC M7は、世界初のSoftware in Siliconであり、来年にはこの第2世代を提供できる。第3世代の開発も進めている」などとした。