対顧客と対従業員でこのような人口動向があり、ITは対応を迫られている。消費者では「消費者のうち68%がチャネルに関係なく統合されたシームレスな体験を求めており、90%がリアルタイムの製品在庫情報はショッピングの選択に影響する」と回答している。
だが、「1%しか良い体験への期待が満たされない」とHurd氏。従業員も同じだ。モバイルでの作業、使いやすいUIなどを求めている。さらには、これを提供することで期待を満たすだけではなく、作業効率が上がるのだから投資しない理由はない。
ここでハードルになるのがシステムだ。企業の基幹業務を支えるアプリケーションの多くは20年以上前に構築されたものだ。モバイルもソーシャルもなければ、検索もなかった時代。インターネットは一部に限られていた。
そのような時代に向けて作られたアプリケーションを、2016年にも使っていることは大きな障害になっているとHurd氏はいう。「多くの業界で古いIT機器が使われており、企業のIT予算の82-83%はメンテナンスに当てられている」。
使い勝手や機能、パフォーマンスだけが問題ではない。古いシステムはシステムダウンを頻繁に招いている。Hurd氏によると「95%のネットワークが不正アクセスを経験しており、攻撃を受けても3分の2が気がつかない」。
企業のセキュリティへの投資は年10%増加しているが、維持のためのコストを計画的なシステム変革に当ててはどうか、というのがOracleの提案だ。
「システムを止めるわけにはいかないが、古いシステムでのビジネス運用はますます厳しくなっている」とHurd氏。
これを解決するのがクラウドである。ERPではイノベーションの速度を加速する屋台骨としての機能が盛り込まれており、人事のHCMでもソーシャル、モバイル、分析などの機能が加わっている。
ERP、HCM、CRMなど業界固有ではない業務アプリケーションではクラウドへの移行が少しずつ始まっている。Hurd氏によると企業の50%が複数のERPを利用しているというが、オンプレミスのアップグレード、海外展開などをきっかけにクラウドに移行するという話も多いという。
クラウドのメリットは上述の経済、ビジネス、人口動態の問題を解決でき、シンプルさが手に入ることだ。Hurd氏は「10年後にはERPやHCMの80%がクラウドに移行する」と予言。
現在30%がクラウドを利用している開発とテストについては、2025年には100%がクラウドベースになると述べる。「Java、Oracleデータベースを使って開発してテストする――これができるようになる。これはOracleだけだ」とHurd氏。
Oracleはデータ(DaaS)、インフラ(IaaS)、プラットフォーム(PaaS)、アプリケーション(SaaS)と完全なクラウドポートフォリオを持ち、「堅牢な環境を維持しながら全体の機能をモダンなクラウドに移すことができる」という。
さらには、クラウドとオンプレミスで同じ機能を提供しており、PaaSを利用して、機能をクラウドに乗せたり戻したりといったことも可能。Oracleのクラウドのもう1つの特徴として訴求するのがセキュリティだ。「パッチ管理、暗号化など強固なセキュリティ対策を講じている」と胸を張った。