BYODとCYODでユーザー中心の仕事環境に--日本IBM、Mac運用支援サービス

日川佳三

2016-05-16 15:55

 「社員の仕事環境が変革を迎えている。システムありきでユーザーがこれを使う時代から、ユーザー中心でユーザーにシステムを合わせていく時代になった」(日本IBM 取締役専務執行役員グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長 Vivek Mahajan氏)

 日本IBMは5月16日、Windowsの代わりにMacをクライアントPCとして導入して運用していくことを支援するサービス「IBM Managed Mobility Services for Mac(MMS for Mac)」を開始した。IBM自身の大規模導入経験に基づいて2015年8月にグローバルで開始したサービスを日本語化して日本IBMから提供するものだ。

日本IBM 取締役 専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長 Vivek Mahajan氏
日本IBM 取締役 専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長 Vivek Mahajan氏
日本IBM 執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 サービスライン 久利建樹氏
日本IBM 執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 サービスライン 久利建樹氏

 サービスの対象は、すでにMacを一部で導入して好感触を得ており、これを全社に拡大したいと考えている企業など。日本IBMによると、Macの導入は人事施策として有効だ。

 使いたい環境を与えることで優秀な人材をつなぎ止めておける。社員の満足度が上がることでビジネスへの貢献度も高まる。

 自分の仕事環境を社員自ら選べるようにする――。これが狙いだと、日本IBM 執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 サービスラインの久利建樹氏は説明する。

 「個人所有端末を持ち込むBYOD(Bring Your Own Device)と、会社から支給する端末をWindowsとMacから選ばせる“CYOD(Choose Your Own Device)”でお仕着せではなくユーザー中心の仕事環境に変えていく」(久利氏)

クライアント管理を中核に調達やヘルプデスクも提供

 サービスの内容は(1)調達、(2)展開、(3)管理、(4)パーソナライズサポート――の4つ(図1)。

 (1)の調達は、Appleと連携し、日本IBMからMacを調達できるようにする。(4)のパーソナライズサポートは、ヘルプデスクや故障時対応などのサービスを日本IBMから提供する。いずれはWatsonによるチャット形式の自動サポートも予定する。

 (2)の展開と(3)の管理はMac用のクライアント管理ソフト(米JAMF Softwareの「Casper Suite」)を使って、初期導入時のセッティングや日々の運用を自動化する。Casper Suiteの管理サーバをオンプレミスに構築し、日本IBMがこれをリモートで運用する。

図1:Macの調達と展開、管理、パーソナライズサポートを提供。クライアント管理環境をオンプレミスに構築するとともに、運用管理業務のアウトソーシングを請け負う
図1:Macの調達と展開、管理、パーソナライズサポートを提供。クライアント管理環境をオンプレミスに構築するとともに、運用管理業務のアウトソーシングを請け負う

Casper Suiteを標準で利用

 展開時、つまり社員がMacをセッティングする際には、Macを箱から出して電源を入れるだけで、30分後には個人用のデスクトップ環境が自動的に構築されるとしている。無線LANを介して管理サーバと通信し、あらかじめ登録しておいたシリアル番号に応じて個人用のセッティングを施す仕組み。

 日々の運用に入ってからも、セキュリティポリシーの適用やソフトウエア構成の変更、パッチの適用など、クライアント管理の基本機能を提供。データのバックアップとリストア(復元)、ファイルの同期などもできる。社員が自前でアプリケーションをインストールするといったことが可能なセルフサービスポータル画面も提供する。

 MMS for Macでは、導入フェーズに応じて、Macの管理サーバ基盤をオンプレミスに構築する「トランジションサービス」と、構築した管理サーバのリモート運用を含めたMacクライアント管理業務のアウトソーシングを請け負う「定常運用サービス」(契約期間は36カ月以上)の2つを用意した。サービスとして提供する形態であるため、Casper Suiteのライセンスをユーザーが購入する必要はないという。

 価格は個別見積もり。あるケースでは、初期費用は1000万円からで、3年間で500~1000台を運用した場合、1台あたり月額10ドル程度。

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