コネクテッドカーの先駆けGMのOnStar「1:1の関係構築を」
基調講演で登場した顧客の1社が、General Motorsの子会社で、車載システムを手がけるOnStarだ。OnStarは1996年に緊急連絡などの安全性を主な目的とした車載システムとして設立され、サービスを拡大してきた。
OnStarは、Journey Builder、Audience Builder、Advertising Studioを利用して、顧客に最適なオファーを提供する「At Your Service」を構築、2015年のCESで発表した。通信は、車に搭載した4G LTEを利用する。モバイルアプリを利用して、OnStarを搭載した自動車と接続し、ドアロック、ロック解除、ライトなどの操作ができるほか、ガソリンの残量など自動車の状況を表示できる。
「AtYourService」アプリ
コマースは重要なコンポーネントで、顧客の性別や年齢などのデータに加えて、位置情報、自動車の診断情報、天気や時間情報などからさまざまな事柄を提案する。例えばガソリンの残量が少ない場合は、最寄りのガソリンスタンドを知らせる。
今回、In-Car Interfaceとして、ショップがダッシュボード経由でオファーできるようになった。アプリに加えて新たなチャネルとなり、顧客とのつながりを強化できるだけでなく、ドライバーの安全性という面でも利点がある。
デモではDunkin’ Donutsのオファーがダッシュボードに表示され、メニューから地図をタップすると、最寄りの店舗までのナビゲーションを示す地図を表示した。
アプリだけではなく、ダッシュボードにオファーが表示されるようになった
OnStarでコンシューマーオンライン責任者を務めるMark Lloyd氏は「技術ではなく、1:1の関係が大切」と話す。
「20年間電子メールマーケティングをやってきたが、時代が変わりつつある」とLloyd氏。それまでは大規模グループを対象にマーケットキャンペーンを展開していたが、製品の多様化により、より小規模なグループに対して、関連性のあるものをより頻繁に送る必要がある。これがMaketing Cloud導入のきっかけだという。
At Your Serviceの展開に不可欠なパートナープログラムの中心はショップだが、これについては「自動車の利用者を見ていると、最も多い目的地は家と職場。だが、どこに行くにしてもショップがある。そこで自動車の主要なユースケースは”実店舗に行くこと”と判断し、ショップコミュニティーの構築に乗り出した」とLloyd氏は説明。ショップとのコミュニケーションも重要で、ここではSalesforce.comの「Community Cloud」を利用しているという。
「ショップコミュニティーをプラットフォームに呼び込み、顧客をこのコミュニティーに接続する。ここで、Salesforce.comは土台となっている」とLloyd氏。
General Motors全体としてはAt Your Serviceは差別化となり、販売後も顧客との関係を継続、強化できることで新しいビジネスモデルを可能にするものとなる。
Marketing Cloudでは予測機能を使ってターゲッティングを改善できるが、Lloyd氏は「顧客に適切なコンテンツを表示するためにデータを利用するが、我々の勝手な推測に頼らずに顧客に好みを聞く」と語る。アプリでは多数の設定ができるようになっている。OnStarは今後も、提携するショップコミュニティーを拡大し、エコシステムを構築する方針だ。
OnStarのMark Lloyd氏とSalesforce.comのBryan Wade氏