金融業が大幅減益予想となっている理由

(出所:三菱UFJとみずほは楽天証券経済研究所の推定、他は会社予想)
金融業は、例年、期初は、減益で予想を出すことが多くなっている。例年、株式や債券の売却益が、経常利益を押し上げているが、期初の予想では、株式や債券の売却益を見込まないことが多いからだ。
今年は、それに加えて、マイナス金利の影響も、金融業の業績の足を引っ張る。かんぽ生命とゆうちょ銀行は、これまで収益の大半を国債運用益に依存してきたので、長期国債の利回りがマイナスになった影響を受けて、減益が続く見通しとなっている。
ただし、期の途中で、金融業の利益は上方修正されていくと見込まれる。今年も、株や債券の売却益が出ると考えられるからだ。
長期国債の利回りがマイナスになった影響で、金融各社は保有する国内債券に大きな含み益が生じている。日銀の買い取りに対応して、債券を売却すれば、売却益がかなり出る。
ゆうちょ銀行では、3月末時点で、保有する有価証券に4兆1864億円の評価益(税効果前・ヘッジ考慮後)がある。主な内訳は、国債の評価益が1兆7447億円、外国債券の評価益が1兆9678億円だ。債券売却益を出せば、今期の見かけ上の利益を押し上げることは、いくらでもできる状態だ。
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